1日目【7月21日

 
 


 「……」

 俺はその女の子を無視する事にした。


 「ちょっと聞いてるの?」
 「……」
 「……だから都会の人間って嫌いなのよ。自分さえよければいいと思って……」

 なんとでも言え。こんな些細な事でとやかく言われなければいけないんだ。どうせ、車内は空いてるんだから問題ないだろうに。
 それに、よく見ず知らずの人間にそんな事を言えるよな。
 俺はそう心の中で文句を言いながら、窓の外を眺めるふりしてその女の子を無視した。