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(2)飾らない心と自信

82.花「一枚の絵」社発行(西村卆寿記念画集)より

ピカソの育ての親であるパリ画商界の大御所ヘンリー・カンワイラー氏は「あなたは日本人だ。日本人に徹しなさい。日本の伝統から学んだものを、日本芸術の特性を昇華することだ「ピカソもシャガールもブラックも、みんなその生まれた国の伝統に根ざした絵を描いている。

スペイン生まれのピカソは、曲芸や闘牛が大好きで、画家になってからも旅芸人になりたかったとか闘牛士になりたかったとかよく言っていたが、そういう絵を沢山描いた。

ロシア生まれのシャガールはペチカの前でサモア茶を飲みながら夢を描き続けた。

フランスのマチスやブラックはシックでエレガントな国民性をキャンバスに表現したし、フジタは、東洋の伝統的な線をいかしたのだ」


私の個展会場で「ブラボー、ブラボー」と言ってくれたルーブル美術館長はこう忠告してくれた。

「パリに発表に来たと言ったのは、あなたが初めてだ。今迄の日本人画家は、勉強に来たと言うので、大変不満に思っていた。勉強というが、みな模倣して帰るだけである。

フランスの印象派の画家は、日本の浮世絵から大きな刺激を受けたが、これは模倣ではなく、その心を学んだのである。

法隆寺の壁画や、敦煌の壁画に描かれた東洋の心を学びなさい。絵はモードではない。伝統に根ざした、みなの心を打つ絵を描きなさい」、、と。

これらの言葉は私の中でいまなお生き続け、日々、私を新たな決意に向かわせる。日本人として、自分の絵を追求する意欲を湧かせてくれる。そして一度でいいから、自然に勝ったと自ら納得出来る作品を描いて死にたいと、今日も考えながら絵筆をとる。

                 
 西村計雄 「一枚の絵」社発行(西村計雄新作77)より。



計雄の絵の原点とも言うべき生まれ故郷の町に素晴らしい美術の殿堂が出現した。
雄大な北海道、ニセコ連峰のすそ野に位置する豊かな緑に恵まれた農業の町、共和町に
「西村計雄記念美術館」
が、99年11月1日ついに誕生した。


アクセス1: 札幌から約2時間 ・小樽・余市経由国道5号−国道276号

アクセス2: 中山峠・倶知安経由 国道230号−国道276号

アクセス3: 美笛峠・倶知安経由 道道 16号−国道276号

048−2202 北海道 岩内郡 共和町 南幌似143−2 :TEL 0135−71−2525


* 西村計雄画伯は2000年12月4日、91歳で亡くなられました。ご冥福をお祈りします。

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