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        鶴の恩返し (A Crane's Gratitude )

Once upon a time , there was a young man who lived alone, deep in the snowy mountains.

昔々、雪深い山奥に若い男が一人で住んでいました。

He was poor and he made his living by cutting firewood and selling it in a nearby village.

男はとても貧乏で、毎日毎日、山へ出かけて薪を作り、それを近くに村で売るという暮らしを続けていました。

One winter's day, as the young man was returning home through the forest carring his firewood, he heard an odd sound.


ある日のことです、いつもの通り男は薪を背負って森を抜けて家への道を急いでいました。
その時です、今まで聞いたこともない何とも妙な音が聞こえてきました。 (2012.4.19.)


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"What's that ?"he thought to himselfe.

「あの声は何だろう」、、訝しく思った若者は立ち止まって辺りを見回しました。

" It sound like something's hurt".

痛みに耐えて、呻くような声がまたしました。

He crept thought the bushes toward the sound until he came to the edge of a small snow-coverd clearing .

若者は藪を掻き分けて木の下枝をかいくぐって声のする方へ近づいて行きました。森の中に少し開けた空き地がありました。そこは、雪の吹き溜まりで、一面真っ白に輝いていました。

There, in middle of the clearing, he saw a crane.

その空き地の真ん中あたりに一羽の鶴がいました。

Its leg was caught in a hunter's trap, and every few minutes it would raise its head to the sky and cry in pain.


その足は猟師の仕掛けた罠に捕らえられていて、飛び立つことが出来ません。鶴は頭をもたげ、空を見上げて羽ばたくのですが、罠はほんの少しだけ持ち上がるだけで、どうにもなりません。鶴が羽ばたくたびに、鉄の罠がガチャガチャと空しく音をたてるだけでした。傷ついた足が痛むのでしょう、鶴はひっきりなしに何とも悲しげな切ない声で鳴いています。

The young man felt pity. He enterd the clesring slowly, trying not to frighten the crane.

若者は鶴を憐れに思い、助けてやろうと空き地に入って行きました。鶴を怖がらせないように注意しながら、ゆっくりと鶴に近づいていきました。

The bird looked up in alarm and struggled harder to get itself out of the trap. Blood stained the snow a deep red.


「よしよし助けてやるからな、怖がらなくてもいい」
若者が鶴に話しかけながら近づくのですが、鶴は怖がっていっそう羽をバタバタさせました。足からパッと鮮血が飛び散り、白い雪を真っ赤に染めました。(2012.4.26.)

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Don't be scared," said the young man softly. I'm here to help you," He reached down and freed the crane frome the trap .

「ほれほれ、怖がらなくてもいい、今助けてやるからな」優しく声をかけながら若者は鶴に近づき、腰をかがめて罠を外してやりました。

" Off you go then, you 're free". he said and the bird spread its wings in joy and relief, and flew off into the air.

「さあ取れたぞ!さあお行き!」若者はそう言うと、鶴は痛みの消えた喜びと、罠からはずれた安心感のためか大きな羽をゆっくりと広げました。それから強く羽ばたいてふわっと空中に浮き上がりました。そしてす〜っと大空に舞い上がりました。

若者は晴れ晴れとした顔で飛び立っていく鶴を見送りました。それから、ホカホカ温もった心を抱いて、雪の降り積もった山道を下り、家へと帰っていきました。

That night, as the snow was falling thick and fast, the yung man heard a knocking at his door.

その夜、外は激しい吹雪のようでした。若者は囲炉裏端で暖を取りながら昼間の疲れからか、うとうとと居眠りをしていました。

コンコン、コンコン、夢の中で誰かが戸を叩く音が聞こえてきました。
「おや、、何だろう?」そう思って若者は目が覚めました。

「コンコン、コンコン、」遠慮深げに戸を叩く音が、今度ははっきりと聞こえました。

He opend the door cautiously, being unused to visitors even during the day.

昼間でさえ人の訪れることのないこんな山奥に、しかも、こんな夜更けに、、と、訝しく思った若者は、恐る恐る戸をそっと開けました。

On the doorstep stood a beautifil woman, dressed in white,with snowflakes in her long, black hair.


戸口には見たこともない美しい娘さんが立っていました。真っ白い着物を着て、長い黒髪をたらしたそれはそれは美しい女性でした。

その黒髪には粉雪が降りかかり、キラキラと輝いていました。 (2012.5.10)


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The young man's eyes widened. "Er...." he mumbled. and then fell silent. He wasn't very good with women, especially beautiful, unfamiliar women who suddenly turn up on his doorstep.

びっくりした若者は目をまん丸にして口をポカンと開けたまま、もぐもぐと口籠もりました。山奥で一人暮らしをしている若者にとって、女の人と話をするようなことはほとんどありません。まして、若くて美しい女性が目の前に立っているのですから、まともに口もきけなかったのです。

"I'm lost," the woman said . "Could I stay here for a night?"

「道にまよってしまいました、今晩ひと晩だけでも泊めもらえないでしょうか、、」と娘は心細げにか細い声で言いました。

The young man went red in face , and without saying a word, showed her into his house .

若者はポッと顔を赧らめ、戸を大きく開けて娘を家の中に入れてやりました。

"You can sleep in there ," he said gruffly, pointing to the other room
.”

「そっちの部屋を使えばいい」若者は隣の部屋を指さしてぶっきらぼうに言いました。

The following morning, the young man woke to find the woman already awake. She smiled at him and said " I'v made you something in thanks. I'm afraid I had to use your loom, I hope you don't mind.

Odd, though, that a man living on his own should have a loom." She laughed. "

翌朝、若者が目を覚ますと、娘はもう起きていました。

「昨晩のお礼がしたいと思い、ちょっとした物を作ってみました。ゴメンナサイ、あなたの機を勝手に使わせてもらいました。でも、おかしいわ、一人暮らしのあなたが自分の機を持っていらっしゃるなんて、フフ、、」といたずらっぽく言いました。


It was my mother's " he muttered, rubbing the sleep from his eyes.

「あれはおっかぁのだよ」と若者は眠い目をゴシゴシこすりながらムキになって言いました。( 2012.5.17.)
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" Well, I hope you like it ", the woman said, and she showed him the most beautiful lengs of cloth he had ever seen in his life . His nervousness vanished .

「気に入ってもらえるとうれしんですが、、」そう言って娘は若者が見たこともないような美しい織物を一巻き差し出しました。若者はあまりの美しさに眠気も吹き飛んでしまいました。

" You made that ? " he asked in disbelief . " how in heaven's name ...?

「うへ〜ぇ、、あんたが是を織ったのかね?いったいどうやって作ったのかね?」

" I have my ways, "she laughed again , " They are secret, though. Anyway, you should try selling it " .

「私だけの織り方があるのよ、でも秘密なの フフフ、、」そんなことより、その織物を売りに行ってみてはくれませんか、と娘は笑顔で言いました。

The young man scrambled out of bed and down to the village.

若者は飛び起きて、織物を小脇に抱えて山道を村へと駆けて行きました。(2012.5.24.)

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" How much is this worth ?" he said, bursting into the house of one of the merchants .
村に着くと、急いで一軒の店に飛び込みました。
「この反物をいくらで買ってもらえるかねぇ」と若者は持ってきた反物をお店の主人に店ながら言いました。


" Never seen anything like this before ", said the merchant in suprise.
" I'll give you this much for it " , and he named a price that made the young man go weak at the knees .

「どれどれ、、」反物を手に取った店の主人は目を丸くして言いました。
「ほう、、これは素晴らしい、私は今までこんなものは見たことがない、何と見事な織りなんだろう」これだけ支払うことにしよう、そう言って主人は若者がビックリして腰を抜かしそうな高い値段をつけました。

若者は大喜びでその反物を店の主人に売り渡しました。


I'm rich " . he yelled, laghing and skipping down the road after leaving the home , and so overwhelmed with joy was he that he immediatery asked her to marry him . With a laugh , she said yes .


「おれは金持ちだ!」大声で叫んでみました。自然と笑いがこみあげてきます。飛び跳ねながら家への道を急ぎました。
「俺は金持ちだ!俺は金持ちになったぞ!金持ちだぁ!」

人通りのない山道で大声をあげながらぴよんぴよん跳ねて家まで戻りました。

He found the woman at home, and so overwhelmed with joy was he that he immediately asked her to marry him.
With a laugh, she said yes.


家に着くと、まだ娘が家に居てくれました。若者は半分は期待していたのですが、目の前に居る娘の顔を見ると、嬉しくて嬉しくてたまりません、すぐさま「ずっとおれの所に居てくれないか」と頼みました。

娘はにっこり笑って「いいわ、、」とうなずきました。


A month latter after living a life of happiness and extravagance that he had never dreamed of, the young man said to his wife,

反物を売って得たお金で何一つ不自由のない夢のような暮らしがひと月ほど続きました。若者が考えてもみたことのないような幸せな日々でした。そんなある日、若者は新妻に言いにくそうに話しかけました。(2012.6.09.)

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"You know, we seem to have used up all the money that we got for that fine cloth you wove. Weave us another, would you, my dear?

{あのなぁ、、お前も知っての通り、以前に織ってくれた反物を売って得たお金は、もうほとんど使い果たしてしまったんだ、なあお前、もう一度あんなのを織ってくれないか、頼むよ、いいだろう、」

"If you want," she said. "Beut promise me one thing, you will never watch me weave. You have to promise me that,"

あなたがそう言うなら、いいわよ」ただ一つだけ約束してちょうだい、私が機を織っている姿を絶対に見ないでね、きっとよ」

"Yes, yes, I promise", said the young man impatiently, "but when will it be ready?"

「わかった、わかった、若者は嬉しそうにそう言いました。それから待ちきれないという様子で「いつできあがるんだい?」と尋ねました。
Tomorrow,"

「明日出来るわよ」そう言って若妻はにっこり笑いました。それから機織りの部屋に入ると、窓といわず、障子と言わず、総ての戸をぴしゃりと閉めてしまいました。

That night , his wife shut herself in her room to weave, while the young man went to bed, He fell asleep to the sound of the loom in the next room. Clickety-clack, clickety-clack, cickety-clack," went the loom, but all the young man could hear was the click, click, click of gold.


そして、カッタン、コットン、カッタン、コットン、と織り続けました。若者は寝床の中でその音を聞いている内に眠くなってきました。若者には機を織る音がチャリン、チャリンと小判をならす音にも聞こえました。満ち足りた気分で聞いている内にぐっすり寝込んでしまいました。 (2012.6.14.)

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The following morning. his wife gave him the cloth. "Get some rest, my dear, you look awful", called the young man over his shoulder as he walked cheerfully down to the village.

次日の朝、妻は夫に出来たばかりの反物を手渡しました。願いが叶った夫は大喜びです。

「疲れただろう、ご苦労さん、しばらく休んでおくれ」肩越しにそう言うと、夫は喜び勇んで村への道を下って行きました。自然と笑いがこみあげてきます。

「わぁい!わぁい!これでまた俺は金持ちだぁ、、」誰もいない山道で若者は大声を出しながら、飛び跳ねるようにして下りていきました。


A few days later, he approached his wifre again. "I think we should sell as much of this stuff as we can now. Weave us another one, would you? Another one for you and me.


それから数日が経ちました。夫はまた妻に反物を織ってほしいと思うようになりました。そこで、妻の機嫌の良さそうな時を狙ってこう切り出しました。

「ねぇ、お前、俺は思うんだが、今の内にこの反物を出来るだけ沢山売っておいた方がいいと思うんだ、な、いいだろう、もう一反織ってくれよ!俺たちのためなんだ」
 ( 2012.6.21.)


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Over the next month, the woman wove many length of this magnificent cloth, and the young man would sell it for enormous prices .

翌月も妻はそのとびっきり上等な反物をドンドンと織り続けました。そして夫はそれらをとても高い値段で売りました。

The demand fpr the cloth was extraordinary, nothing so beautiful had ever been in the land before, and rumor had it that the emperor himselfe was hoping to buy some.

こんなに美しいものはこの国では今まで見たことも聞いたこともありませんでした。そのために、何としてもそれを手にいれたいと願う人々がどんどん増えていきました。その噂は殿様の耳にも入りました。殿様もその反物が欲しくなりました。

But his wife sufferd as the young man grew rich, and the young man did not notice this becouse he was so so engrossed in his money.

夫は反物を売るたびにますます金持ちになっていきました。しかし、妻は苦しい日々をおくっていたのです。お金に心を奪われた夫はそのことに気づきませんでした。

After each night spent weaving, she would be exhsusted,. After a month. she looked haggard, pale and sad, like a
ghost.

来る日も来る日も、夜になると妻は部屋にこもり、機を織り続ました。妻の体はどんどん弱っていくようでした。一ヶ月がたつと妻はやせ細り、顔は青ざめて、まるで幽霊のように見えました。けなげに振るまっていましたが、ふとした折りに、悲しげな表情を浮かべることが多くなりました。

" I don't think I can weave any more," she said to her husband one night.

「もうこれ以上織ることは出来ません」、ある晩妻は夫に言いました。

" Nonsense." said her husband running his hands through a pot of gold coins.
" Of course you can."

「何を言うか!出来ないはずはない」夫は瓶に入った小判をすくい上げてはジャラジャラとその音を楽しみながらこともなげに言いました。(2012.6.28.)

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"No, I don't think I can," she said.

「無理です、これ以上は出来ません、勘弁して下さい」と妻は弱々しく言いました。

"Well, how about one more, and then you can take a break for a while," he said and waved her into her room.


では、こうしたらどうだろう、もう一反だけ織ってはくれないか?、そうしたらしばらく休んでもらえるから、、」

そう言いながら、夫は妻に手を振って、機の置いてある部屋へ行くようにうながしました。


Then the young man thought to himselfe, " Pahapse if I had a little look at what she's doing in there, I could set some other people to weave the cloth while she's taking a break. Yes, I'll have a look".

どうしたもんだろう、、」ぼんやりと考えて居る内に良い考えが浮かびました。

そうだ!妻が部屋で何をやっているのか、ちょっとだけ覗いてみよう、妻が休んでいる間は他の人に織らせることが出来るかも知れない、そうだ!覗いてみよう!

So the young man crept to the door , opended it slitgtly , and ther he saw a crane sutting at the loom, plucking feathers frome its body and weaving them into the beautifull cioth.


{夫は足音を忍ばせて障子に近づくと、ほんの少しだけ開けて中を見ました。
「ウッヒャ〜、、小さく声をたてて目を丸くしたまま、身動き一つ出来ません。驚いたことに、機の前には鶴が一羽座っていて、自分の羽をむしり取っては布の中に織り込んでいたのです。 (2012.6.05.)
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And he saw, too , that the crane had few feather left and there was blood on its bare skin. At the same moment, he realized how greedy he had become and how badly he had treated his wife.

目を丸くした夫が、そこに見たものは、羽をむしり取った後に血をにじませ、もうその羽もほとんど無くなってしまった赤裸の憐れな鶴の姿でした。

その瞬間、夫はハッと気づいたのです。俺はなんと欲深になってしまったのだろう、俺は何とひどい仕打ちをしてしまっていたのだろう、、

He fell into the room with a groan, his face pressed against the floor, becouse he could not bear to look at her.

夫は部屋に倒れ込みうめき声を上げたままでいました。
自責の念で妻の顔を見上げることが出来ませんでした。
(2012.7.12.)

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Instantly, the crane transformed herself back into the shape of the woman.

鶴の姿はパッと人間の姿に戻りました。

"You promised ..." she said sadly.
"I am the crane that you saved. I came here to thank you for what you did.

「約束したじゃないですか、、」妻は寂しそうに言いました。
「私は鶴なんです。あなたに助けていただいたあの鶴なんです。あの時のお礼がしたくて、あなたの元へ参ったのです」


But now you have seen me in my real form, I must leave you. "

「でもあなたは私の本当の姿を見てしまいました。私はあなたの元を去らねばなりません」

And she left the young man lying on the floor and disappeared into the snow, never to be seen again.   

そう言うと、鶴は床にうつぶせになったままの夫を残して、雪の中へ飛び去って行きました。
そして再び姿を見せることはありませんでした。  完 (2012.7.19.)
                                         
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