Home英語昔話A glass of milk
A glass of milk  
A young boy from poor neighborhood was selling candy door-to-door to get through school.
貧しい家庭に育った一人の少年が学費を稼ぐためにキャンデイを売り歩いていました。
「キャンデイを買って下さいませんか」少年は一軒ずつドアをノックして回り、丁寧にお願いしました。


One day, with only one dollar to his name, he was so hungry that when he got to the next house, he wanted to ask for a meal.
その日はとても暑い日で汗ビッショリになりながら家々を廻っていました。とてもおなかが空いていた少年は今まで自分を支えていた自尊心も失いかけ、次の家で何か食べ物を恵んでもらおうと思ってしまいました。

When a woman of middle age opened the door, he lost his nerve and asked for a glass of water instead. The woman, not well-off herself, thought he looked hungry so she brought him a large glass of milk.
ドアをノックしました。すると返事があって中から質素ながら清潔な身なりの女性がニコニコしながら出てきました。
「おばさん、僕、キャンデイを売って廻っているんです、すみませんが水を一杯お頂けないでしょうか、、」

「えらいわね、暑かったでしょう、今すぐに持ってきてあげますからね」
女性は少年を一目見たときからこの子はおなかを空かせて喉もカラカラになっているのだろうとなと感じていたのです。そこで水のかわりに大きなグラスにこぼれそうに牛乳を入れて、両手の平で包み込むようにして大事に、だいじに、持ってきてあげました。
「さあ、お飲み」


"This is all I have," he said as he slowly finished the milk and took the dollar out of his pocket.
少年の目から大粒の涙が一粒頬を伝って流れました。少年はそれを気取られない(ケドられない)ように、ゆっくりと牛乳を飲み干しました。
「おばさん、ありがとう、元気が戻って来ました。でも、ゴメンナサイ、僕、これだけしか持っていないんです」そう言って少年はポケットの奥にしまっておいた1ドル札を取り出しました。


The woman replied,
"You don't owe me anything. My mother taught me never to accept money for kindness.

「お金は大事よ、しまっておきなさい、おばさんのお母さんがいつも言っていたのよ、「人に親切にしたときには、お金をもらってはいけませんよ」ってね。だから良いのよ、おばさんはあなたに会えて嬉しいわ」(2016.5.06.)
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Be strong, young man. You'll be great in the future". The boy left the woman's house feeling not only stronger in his body but also encouraged by her kindness.
「強い人になるのよ、あなたはきっと立派な人になるわよ」
おばさんの言葉に少年は元気が湧いてきました。そして、少年は牛乳を飲んで元気を取り戻しただけでなく、おばさんの言葉に励まされ、将来に対して勇気が湧いてきました。

「おばさん、有り難う、僕、また元気になったよ、さようなら」
少年は優しいおばさんに会えたことを神に感謝し、キャンディ売りの仕事に戻っていきました。


After that day , the woman sometimes thought about the boy and her impressions from that day . It was happy memory for her as she never had any children of her own. I
その後も彼女は少年のことが忘れられませんでした。
「あの子はどうしているんだろう、、ずいぶん大きくなった事でしょう、、」
折に触れては思い出し、少年の身の上を案じていました。と申しますのは、その女性には子供が一人もいなかったので、けなげな少年のことが心を離れなかったのでしょう。

n time she got older and finally fell ill. The doctors did not know what was wrong so they sent her to a hospital in the city. The woman needed a difficult operation.
20数年の歳月が過ぎました。その女性も年老いて、病気がちな日々を送るようになっていました。体調が優れず、あちこちの病院で診て貰いましたが、原因がはっきりしません。大きな総合病院に入院して検査をしてもらうことになりました。結果は厳しい状況で、難しい手術が必要だと言うことでした。(2016.5.13.)


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When she woke up, she was very happy to be alive but she knew she faced another challenge.
彼女は次第に意識がはっきりとしていく中で生きて居ることの喜びがフツフツと湧いてくるのを感じました。
「私、生きて居るんだワ」
ベッドに横になったまましばらくはその喜びに身をゆだねていましたが、すぐに現実の問題に思い
が引き戻されてしまいました。


Without health insurance or any family, she knew she would be paying off her medical bills for the rest of her life.
彼女には頼れる家族は一人もいませんでした。おまけに是までの生活がそれほど余裕のある物ではなかったので、健康保険にも入っていませんでした。
「これから残りの人生はこの医療費のために働くことになるんだわ、、」そう思うとしだいに気が滅入ってきました。


The next day, a doctor knocked on her door. In his hand was a medical bill. He smiled when he gave it to her.
その翌朝のことです、元気よくドアをノックして一人の医師が入ってきました。その手には折りたたんだ大きな医療費請求書と一通の封筒が握られていました。
「おばさん良かったですね、もう大丈夫ですよ、これは僕からの手紙です」そう言って医師は持っていた封筒を渡しました。宛名は「親切なおばさんへ」その下には嬉しそうにミルクを飲む少年の絵が描かれていました。


"Open it, please." She was nervous as opened the envelop. The bill inside said,
"Paid in full with one glass of milk". Then she recognized the boy.

「中を見て下さい」
彼女が封筒の中から取り出した紙には「一杯のミルクで医療費支払い済み」と書かれていました
。彼女は総てを悟りました、あの時の少年が、、と思うと、泪があふれてきました。彼女は医師の手を取ったまましばらくうれし泣きをつづけていました。医師も嬉しそうにその姿を晴れ晴れとした顔で眺めていました。 終わり(2016.05.20.)

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