結論として、今日における誤った観点の中国武術家を育ててしまったのは、日本に初めて「中国武術」を紹介した「松田隆智」氏とその弟子(松田氏と同じ中国武術観の持ち主)たち、そして彼らの誤った発言を今もなお鵜呑みにして「科学的検証」もなしに流し続けている「情報メディア」であるといえる。
したがって、彼らがミスリードしてきた事に、重大な責任が在ることは否めないであろう。
松田氏に対しては、彼が日本に中国武術を紹介してから10年以上経つのにも関わらず、いっこうに日本の武術界でボクシングやレスリングのように市民権を得られていないのは何故なのか、そして、中国武術愛好家の中国武術の歴史的事実に基く理解の低さなど。また、年に1度「武当派研究会」が第1回から第7回まで主催してきた「日中交流オープントーナメント」の全国から集まってきた中国武術選手のレベルの低さや、参加人数が質の良い日本武道選手は上昇の一途をたどるのに対し、中国武術選手は7年間を通して約30人で横這いであることなど、それらの根本的な原因を考えていただきたい。
情報誌メディアに対しては、中国武術に関してほぼ独占状態なのだから、情報のバランスを考慮するべきであろう。そのうえで、一般に対して情報公開をする前に、必ず、その情報が正しいのか間違っているのかを確かめる「裏」をとるべきであろう。「嘘、大げさ、紛らわしい」を検証し排除したうえで質の良い情報を提供することが、金銭を取って一般に情報を公開している者の仕事ではないのか。マスコミが情報を淘汰するフィルターを持たなければ、現在の情報化社会の秩序は無いも同然である。真に中国武術の発展を願って、情報公開を継続していこうと考えているのならば、ジャーナリズムの倫理的立場に立って、是非とも今後の方針を見直していただきたいと切に願っている。
この度、やむにやまれず名指しになってしまったのは、ある殺人事件がきっかけになったからである。是非ご理解を頂きたい。