1997/03/01(SAT)

1997/03/01(SAT)



白紙に向かう時の、この何もない感じというのはいったい何なんだろう。考えてみれば不思議なことで、書くこと、言うことなんて沢山あるわけだ。ふだん考えていることだっていろいろあるわけだし、ほんとうは書くことはあるわけですよ。それが突然、動脈硬化を起こしたように、まったく何も書くことがなくなってしまう。これは、何か魔がさしたとでもいうほかない。突然、記憶喪失に襲われたように、すべてが目の前から消えてしまう。何もなくなってしまう。キーボードに向かった瞬間から、それまでとは別の力が作用しているとしか思えない。指が硬直して、全身が麻痺したように動きを起こせなくなってしまう。これはほんとうにいったい何なのだろう。もしかしたらここに創造の秘密が隠されているのだろうか。まああんまりせっかちになってもきっと逆効果だよ。こんなところに創造の神秘が身を潜めているのだったら、慌てることはない、のんびりと構えて、たとえば、一度顔を洗って出直すのもいいかもしれないね。

さて、きょうから三月。中旬には BOOBY TRAP が出る予定だ。さすがに楽しみではある。この雑誌は同人誌らしくないところが気にいっている。誌名もなんとなく洒落ているし、中身もまあまあではないだろうか。清水氏や倉田氏といった主要メンバーも、なかなか感じがいいしね。けっこうこういう雑誌てありそうでないんだよね。いいもの、いい人たちに巡り会ったと思っている。ラッキーだったね。
で、このあとが例の『印刷物』の出版だが、いつごろになるのだろうか。こちらは気長に待つほかないようだ。
ちなみに、いま、ふと思い立って、辞書で BOOBY TRAP を当たってみたら、偽装爆弾、仕掛け地雷といった楽しい訳語が出てきた。まぬけだまし、戸や路上に仕掛けたいたずらといった訳もある。いかにも清水氏らしい語感だ。また、改めて好きになった。

|
夏際敏生日記2 [1997/02/23-1997/03/20] 目次| 前頁(1997/02/28(FRI))| 次頁(1997/03/02(SUN))|