ステートメント

ステートメント
大村浩一


行きつくのは
穏やかな朝
そこでとぎれる道
ありがちでいて

列車
トーラスを巡る魚

広場の鳩が一斉に飛びたち
晴れた空気に
ローレンツのアトラクターを
描く
つがいの二羽は時計のうえ
互いに詰めようのない距離を見つめあう
十時四十分
長針がはじけると
どこかで町が崩れる

不安なのは僕も同じ
感情はHEXと触手
感情は黒い羽毛の鳥
僕はからだをこわばらせるが
あのひとの声はくりかえし
あのひとの耳には決して行きつかない
吐息
樹形図はこじれるだけこじれ

バスが曲がってきて
鏡を壊す



初稿 1995/04/01
改稿 1998/02/21


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