失語前夜
失語前夜
阿ト理恵
しゃべるは走り
詩頭は魚をこがしてしまう
筋肉が脂肪になる度
ぱあの根をだし
いいわけしない気は音のくすり笑う脳ミソ
煮こみすぎるは去り
裸指は肉をかたくする
乾燥したみだらな元
ちょろまかすイケナイ×イケル
首にできたうなずき皺に指は発泡し
て
ゼリー体質な多画数漢字いぢっ
て
ひらがなぼやけ
て
カタカナふるえ
て
アルファベットよめなくなっ
て
あとくされのある語は手にのこり失語前夜
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前頁(回復を待つ呼吸 ――布村浩一『ぼくのお城』(昧爽社、1995.7.15刊))|
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