花日記(7)

花日記(7)
大森吉美

9月9日

　平成九年九月九日、九が三つ重なる日で今日はメデタイんだそうな。「九」と言えば「苦」につながるから、私は不吉なのかと思っていたら違うらしい。九州の方では「九」の温泉のある「九」のつくナントカ言う（名前を忘れてしまったわ）温泉町が、その「九」の温泉に無料で入りホウダイのイベントをするらしい。＜＜書いて見るとヤヤコシイもんだわ・・・。うん。（でも、いいなぁ・・・近くだったら行くのになぁ・・温泉好きですもん）
　カレンダーを見ると「九月九日、陽数つまり奇数の九が二つ重なる重陽は菊の節句とも言い、長寿を祝う日」とあった。そのメデタイ日に、私は何をしたかと言うと、午前中はバタバタと所用で過し、午後からは疲れがでたのか？ひたすら、眠っていました。（ようするに、お昼寝、ですね。）しかも、午後一時から四時までたっぷり三時間・・も。夢の中でお隣りさんとお向かいさんの声がする・・と思っていたら現実に、我が家の前での夕方の園芸談義が復活したらしい。
「今日も暑かったよねぇ。」
「でも、水やりはもう、朝か夕方かどちらか一回でいいよ。」
「あんまりやると根腐れするしね」
「よしみサンは、まだ、朝も晩もやってるみたいやで・・」
「そう言えば、今日は静かやね？」
「どこか行ってるんやろか？」
・・・・ぴんぽーん・・・・
で・・・寝ぼけ眼のよしみサンの登場ですがな。
「おはよう・・・」。。。ドッと笑う彼女ら・・・
ここでウケルとはっ!・・・もうっ？なにが可笑しいのんな？
と少々ムッとする、よしみサン・・・。（寝起きは機嫌も悪い。）
「もう、夕方やでぇ」
「それにどうしたん？　その顔、それって？　新しい、化粧なん？」
　ん？
（寝起きなので、そうとう、ヒドイ形相らしい、があわてて起きてきたから鏡も見ていない・・・）
　笑って、ごまかすしかないかなぁ～あはは・・・。

9月10日

　昨日の夕方、お向かいさんから、新種のサルビアをいただいた。（新種と言うのが正しいかどうかはしらない・・が。今まで、サルビアと言えば「赤」と思い込んでいた私だ。）
　先日、お向かいサンのプランターに薄いピンクと白の可愛い花を見つけて、
「あれ？かわいいっ、これ、何？　ね、新種？」
私の、こういう嬌声は心に「オネダリ」を隠していると知ってか？知らずか？くだんの園芸の達人は、
「あぁ？それ？　サルビアやで」とカルクのたまう。
「えーー？　サルビアって赤だけかと思ってたぁ。」
「白もあるしブルーみたいな色もあるよ。背が高くなって秋もわりと長く咲くから、これからのコンテナガーデンにはいいんとちゃう？」
「いいなぁ、いいなぁ、私のイメージにぴったりやわ。」
（・・・どんなイメージやら・・・）
「ね？　どこで買ったの？　いくら？　今でも売ってるかな～～？」
「・・・今度、売ってたらよしみサンの分も買っておくわ。」
「わぁい、やった、絶対だよん」
　その事を覚えていてくれて、一株６０円で売ってたから、と五株ほど買ってきてくれたのだ。（つくづく良い隣人に恵まれていると感謝！）早速、コンテナを三つ作った。このコンテナもお向かいさんが貸してくれているものだ。増えすぎた白のインパチェンスとブライダルべール、ピンクのサルビアをあしらって二つ。一つはピンクのインパチェンスと白雪かづら？（だったけ？　蔦じょうに広がる常緑のかづら）とブルーのサルビア。それを置く場所に迷っていると、くだんの園芸の達人は「もう、ゴールドクレストの下のポーチェラカを抜きぃな」と言う。
「えぇっ？まだ、キレイに咲いているやん？」
「でも、園芸は思い切りも大事やで。ポーチェラカは夏の花やから秋になったら見てる間にダメになるって。ソレまでに抜いてスッキリさせてコンテナを置くほうがイイって・・。コンテナは直に土に置くときは下にブロックか何かをひくと、水捌けがいいよぉ。」
「ふーん。」
　彼女が言うには、これから地植えするより、コンテナ中心に切り替えて霜が降りたらすぐに軒下に移動できるようにしておくのがいいのだと言う。前に私が気にしていた、サフニィアだけではナイ。
「げ？これ・・みんなぁ？軒下に移動なん？」
　種が冬を越すものもあるから、教えてくれると言う。インパチェンスや忘れなぐさ、スノーボールなんかはけっこう種が散るという。あと、ビオラもうまくいけば来年、あちこちから芽が出るという。
「雑草と間違えて芽のうちに摘んでしまいそう・・・」
「よしみサンやったらありえるなぁ・・そや、抜く前には絶対に私に聞きぃな。」
「ハイ、先生・・・でもぉ・・うちなんか、寒さに弱いものばっかりだから、冬の花壇は寂しいやろなぁ・・・」とぼやけば、「冬は冬ように、ミニ針葉樹のコンテナをつくってクリスマスの雰囲気でアレンジすればいいやん。」
「えー、そんなんした事ない。でも。良さそう。いいなぁ、・・私のイメージにピッタリやん！！」
（・・だから、どんなイメージやねん？？？？）
「・・・・・・」
「それって、どこかに売ってるの？どんな木がいいのん？　どれくらいの大きさがベストなん？・・・・いつ頃したらいいの？」
「・・・・今度、また、教えてあげるってば・・・」
((わぁい!　やった！！　むふふ・・・))

9月11日

　今日は朝から機嫌がイイ、私。個人的な事だが、つれが地元の新聞に名前が載ったのだ。三田市の企画する「若手商い塾」の講師として。うーん、カッコイイなぁ、さすが、私が惚れただけあるで。小さな写真に見入ること数時間？？＜＜オイオイ･･･｡
　やおら、近くのコミュニティまでコピーをとりにゆく。こんなメデタイ?ことは親戚中に配らなきゃ。ついでにコミュニティの管理人のおばさんにも見せびらかして、と。ほくほくしていながらの道中、九月になったとは言え、まだ暑い太陽の下で、家並みを飾る花を鑑賞しながらの散歩となった。どの家も玄関脇のプランターは、それぞれに工夫されていて、参考になる。
「あ? この家は確か? 雑誌に載ったのよね。スゴイなぁ」とか思いながら、ふと気付いた。
　私の園芸、ここにこうして書いていても実物を皆に見せて自慢はできないのだった。あーモッタイナイ。
　そうだっ!　こういう時はインターネットのホームページに大々的にデジカメで撮った写真を貼りつければいいのだ!　どうしてもっと早く気がつかなかったのだろう?
　決めたっ!　次回、我が家のホームページは園芸のページを増やすぞっ。
　園芸ファンの皆さん!　待っていてね。

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