花日記(6)

花日記(6)
大森吉美


9月4日

 今日は2番目の娘の14才の誕生日だった。玄関にはりんどうとピンクのカーネーション、それとカスミ草をアレンジして飾ってみた。この花の中で言えば、次女のイメージはさしずめ「りんどう」といったところかしら? 紫のキリっとした花のつぼみ、一つの株にたくさんの蕾をつけて。
 私には娘が三人いるが、それぞれに性格が違う。長女はノンビリ屋でおっとりしたヌーボーとした性格で格好も構わない(さしずめ、カスミソウか?)末っ子は、かわいいばっかり・・・(ピンクのカーネーションね。)次女は好き嫌いのはっきりした性格で、おしゃれにもマメなほうだ。マネキュアも流行の色をつけて楽しんだり、ルーズソックスなんかもはいている。先日までパーマもあてたいとかって、中学生にしてコギャルタイプなのだ・・・・。(心配といえば心配・・)それでもグレテいるわけではない。友人との悩みなども、私に相談してくる。まだまだカワイイのだ。
 花を育てはじめて、花作りは子育てや人生観や、何かしらそういう「生きる」っていう姿勢に通じるものが感じられて仕方なかったのだがこうして、つらつら花を眺めていると、ハタと気付くことが多い。夢中になっているコンテナガーデンの寄せ植えも、決して思うとおりの花の付け方をするわけではない。この花は背が伸びて腰高に花をつけるハズ・・こっちは下に少し垂れ下がるように、と思い込んで植えても、下に垂れてゆくはずのものがイヤに元気よく横にはびこってしまい、上に花をつけるハズのものがそれに埋もれて見えなかったり。
 この夏の朝顔などは最悪で、ちゃんとフェンスぞいに植えたのは良かったけど東むきに蔓をはびこらせるハズが なんと西向きに はびこってしまい、フェンス横の植木にからまってしまった。(まるでその植木が朝顔の花を咲かせているかのように、)元気よく青い花を咲かせてはいるけれど、イメージが逆だから、見るたびにがっかりする。ただ、不思議な事に、私の美意識はそうでも、道行く人にはこの朝顔も好評だったようで「朝の散歩が楽しみなんですよ、お宅の朝顔は元気がいいわぁ」などと言われたりする。
 次女に関しても、そういうところはあるなぁ。親は学生らしくとか女らしくとか、思うけど、何が彼女を生き生きと輝かせているのか? そこを見てやらないとなぁ。生きているものに「美意識」やら「価値観」なるものを押しつけることがそもそもの間違いの素なのかもしれない。
 りんどうの花かぁ。

 14才の彼女も、あの蕾みたいに たくさんの可能性をその感性に秘めているんだろう。おしゃれも悩みも彼女の肥やしよね。願わくば、たくさんの花を咲かせて・・・。あなたなりの美しさで。


9月6日

先日から午後から雨が降る日が多い。そして一雨ごとに涼しくなってゆく。
「秋ですね。虫の声も、セミから、こおろぎ、松虫に変わってきました。るーん、とかチロリロって声を聞きながら、私は夜のウォーキングを楽しみはじめました・・・」って、あぁ、だれかに長い長い手紙を書いてみたくなるのも、秋の夜長。
 夜とか曇った日には夏の間に咲き誇っていたポーチェラカはしぼんでいます。もうじき本当に花をつけない日がくるんでしょう。三田は霜が降りるのが早いところだから、夏が終わったばかりの今から私は冬のことが気掛かり。花の苗を冬の間に軒下に入れてやらなくてはならない。だが、我が家の軒下はナイに等しい。家の中は人間五人と猫で手いっぱいだし。・・・で・・このところ、私は真剣にテラスを庭につくろうかと考えている。最初はデッキを作りたかったけれど、デッキは以前、住んでいた家で経験ずみだから。(木製だと防腐剤を二年か三年に一回は塗ったりメンテナンスが大変なのだ)お隣りさんもお向かいさんも庭にデッキがあるし。このさい、うちは少し個性を発揮して、テラスを、と思うのだ。煉瓦やコンクリート、屋根つきなら、手入れも楽だし。洗濯物だって干せちゃう・・・。でも、ただし、お金がいるのだ。(あたりまえのことだが)、それが結構キツイ。最低でも20万はかかるだろう。うう。長女の高校受験の費用もいるし、と、でも、花も大切だし。アタマと植木鉢を抱えながら、週末のチラシとにらめっこしている。宝くじもやっぱダメだったし・・・。

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