花日記(4)

花日記(4)
大森吉美


9月2日

 新学期がはじまり我が家にも午前中の静寂が戻ってきた。夏の間、家族に囲まれ その家族愛に充電された・・と言いたいところだけれど、実際は「放電」しっぱなしで疲労困憊の身の上である。何はともあれ、ヒューズが飛ぶ前に夏休みが終わって良かった。
 さて、しばらくはそういうこともあって 自主的に?筆を休ませていて決して日記をさぼっていたわけではナイと、言い訳をしながらの「花日記」の再開である。(この自主的っていう言葉の響きは、なんだか、寄宿舎の今月の目標みたいでキンコンカンの鐘の音まで聞こえてきそう。そんな気がしませんか?)
(と・・・少々、意味ありげに久しぶりの日記をなんとか盛り上げたい・・)(^^;)
 で・・・
 何を書きたいのかというと、「蚊」である。うーん? ささやかすぎる・・か?《しゃれてる場合ではなく・・・「蚊」。
 なんとかして欲しいっ、近ごろの ぶんぶんぶーん のあの「蚊」。夕方の花の水ヤリの時も、草抜きの時も、我が身につきまとう。ぶーんぶんぶん。
「パチンっ。えいっ。むっ!」
 合気道よろしく格闘しているのは、私だけではない。お向かいさんもお隣りさんも、最近の「蚊」には閉口している。玄関に虫除けスプレーを常備し、外に出る時は頭から足の先までSF映画の除菌シーンよろしく、シュワシュワとかけまくる。眼はイタイし鼻腔には薬の匂いが染みつく。庭には蚊取り線香を四隅に置く。それなのに、それなのに・・・・。痛痒いキスマークは腕に足につけられてゆく。
「美味しい我が身が恨めしい」と呟けば、
「おかぁさん? 痩せる気になった?」とは我が子の弁。うう。
 いいんだ、いいんだ、こうなればっ。
 ドラキュラに我が身を捧げる乙女になったつもりで、いくもんね。
 あーー痒いっ。
 折角、蕁麻疹も治ったのに。私の天敵は「蚊」かもしれない。そう思ってつらつら文字を眺めれば、、、おぉっ虫と文、で蚊なのね? ぶんぶんぶーんと飛ぶから、虫と文なのか? それとも、こうして私の「花日記」に書かれる運命であったから虫と文なのか? 相当おバカな思考回路に はまってゆく・・・よしみサンであった。・・そう言えば、痒くて「掻く」は「書く」に通じるのか・・・おいおい・・

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