手の出世

手の出世
阿ト理恵


第2第3水曜日
びん・かん捨てる手は敏感になる
手は危険な手へ
真夜中のケーブルを脱っ脱っダッシュ
つづけ手よ、手、手、手よ

(^^)、(^-^)、(T_T)、(;_;)、
(^^ゞ、(~_~;)、(*^^*)、m(__)m、
滝のように流れ落ちてゆくデジタル
温められたキーボードから
瞬間冷凍保存して送りだす
解凍あるいは解答あるいは回答を
応答する時間のズレの向こうに
ワタシノ文ヲ読ンデ
ボクノ文ヲ読ンデ
ワタシヲボクヲ
ミテミテミテ、見、手、見、手、見
手の向こう
聞こえない肉声がケーブル内ラッシュ
手が仕事を終えることはない

手は手に繋がることで
戀に出世する

        (B級 阿ト理恵独り詩通信【5】より)

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