キーワードとキーナンバー(4)「元気」

キーワードとキーナンバー(4)「元気」
大森吉美


 このお部屋のご主人、清水鱗造さんに「元気」な人と言っていただいて張り切ってしまう私です。
 そうなんです。つれあいを始めとして友人、知人、会う人ごとにあんたは元気やなぁ。」と言われ慣れてしまっている私です。まぁ、自分でも元気だけが取り柄かもしれないと思っています。そういう私も、スーパーマンではありませんから、本当はいつもいつも
「元気」というわけでもなく、誰かに「元気にも努力がいる!」と認めて欲しくてウズウズしているところがあります。
 さて、今日はせっかくですから、キーワードに「元気」という言葉をとりあげてみましょう。
「元」(モト)の「気」(キ)と書いて、「元気」(ゲンキ)。
 手元にある辞書(三省堂新明解国語辞典;第三版)で調べると「――病気が良くなる意の古語「減気」の変化という――
1、(体力、気力が充分で)進んで物事をやろうとする気力
2、取り立てて具合の悪いところがなく日常の生活に耐え得る様子」
 と、あります。
 ここで、私は「減気」という古語に「元気」の起源があることに驚いてしまいました。今、使っている「元気」のイメージと「減気」に使われている「減」という言葉のイメージが逆方向を向いているように思えたからです。そこで念のため、「減」という言葉を、辞書で調べてみました。するとやはり、「減る」、「減らす」:少なくなる――という意味でした。
「気」という言葉も調べてみました。
「1、空気・ガスのように目に見えないもの
 2、積極的に何かをしようとする心の働き
 3、物に感じて対処する心の働き
 4、受けた刺激によって変わる心の状態
 5、意識」
 と、見出しだけで五つになっています。
 また、2から5の説明に付記してある、例文、常用句もたくさんあって少しあげるだけでも、
「気がきく気のおけない気がすむ気がひける気にかかる気にくわない気にとめる気はこころ・・・・」と言う具合です。
 気はこころ、そうですね?
 1、の「空気。ガス」という定義をのぞいては、いずれも人の心理状態に深く関わった言葉のようです。
「気」が「減る」言い換えて、こころが減ってゆくのが「元気」? と思い至って、まるで、今までの言葉の意味と違う「元気」が浮かびませんか? ポジティブ、一転してネガティブ・・・。まぁ、そこまではいかなくても、こころを減らして生きているそんな健気な「元気」が見えてくるのです。

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