『ROOKIE!』

リリース記念インタビュー 前編:2001 上半期活動 編



コメホカ:プロデューサー、コンポーザー、プレイヤーとして、ドラマの音楽、石井さんのライブへの参加、MINAKO & GIRLS BROTHERS での1st TOUR 、BIG HORNS BEE として『ディープパープル』と共演などなど、多岐にわたる活動を展開されている金子さんに、お話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。


2001年夏の新ドラマ劇伴

コメホカ:6月20日に『ルーキー!』のサントラが発売になりましたが、凄く、すごくホーンがかっこいいですよね。うちでは、ヘビー・ローテーションで、聞かせていただいてます。
『ルーキー!』サントラの話は、後ほど、ゆっくりお聞きしたいのですが、また今、夏の新ドラマの音楽をやられますよね。

金子:ええ、ふたつやってます。一つは、フジテレビの『月9』枠で、広末涼子主演の『できちゃった結婚』です。

コメホカ:今度はどんな感じの曲になるんですか?

金子:いやー、これが大変なんですよ。『マンボ』って言うお題が出ていて、作っていったら、もっと違うのって言われたんですよ。というか、「『FUZZ JAZZ』のCDを使いたい、これがイメージです」って。監督、マンボって言ってたよなぁ・・・で、七転八倒してるんですよ(笑) ちょっとコミカルなホーンをいれたりしながらね(笑)

コメホカ:FUZZ JAZZが『マンボ』なんですか?えーって感じですけど(笑)
もう一つは?

金子:テレビ朝日の土曜23時で『早乙女タイフーン』をやります。海の監視員の話なんです。楽しみですねぇ、サーフサウンドですから。ビーチボーイズ、ベンチャーズ・・・。めちゃめちゃ好きな音楽ですから。

コメホカ:そうなんですか。

金子:今年の春にシティーボーイズのサントラ盤が出たんですけど、その時に製作をした方が居るんですよ、音楽マニアって言うか・・・(笑)。今回、また、彼と一緒なので、また面白いものができると思いますよ。シティーボーイズの時も、ちょっとサーフサウンドっぽい感じだったんで、あれの第2弾みたいな感じになるんじゃないかな。期待していてください。


ディープパープル共演 & スターダスト・レビューとも共演

コメホカ:ディープパープルの日本公演では、ディープパープルとBHBが共演されましたが、その時のお話を聞かせてください。(ライブレポートはこちら)

金子:そうなんですよー、共演したんですよぉ。(メチャ嬉しそう

コメホカ:サインが(事務所に)飾ってありますね。すぐに目に付きましたヨ。

>金子:そう、これねぇ(と、嬉しそうにわざわざサイン入りアルバムを持ってくる)、中学生の時、買ったんですよぉ。持っていきましたよ。ロジャーグローバーにあこがれて・・・あこがれだったんでね、今回、BIG HORNS BEE のみんなを説得して。

コメホカ:じゃあ、金子さんが説得されて、それで出ようってことになったんですか?

金子:そう。頼むからやろうって(笑) もう、かなり個人的趣味が入って!!(笑)
わかばは、あっという間にノッテくれましたね。「面白そうだからやる!」って。昔、BIG HORNS BEE でハイウェースターバージョンとかやったしね(JT SUPER SOUND '95)。”男の子の趣味”って感じでね。
よかったですよー。レッドツェッペリンとかと一緒で、ハードロックのはしりですから。ヘビメタとは全然違いますから。みんなテクニシャン。ドラムの人なんかもうジャズドラマーみたい。ほんとに上手だった、演奏が華麗だった。出てる音はハードなんだけどね。楽しかったなぁ。(本当に嬉しそう


コメホカ:ディープパープルっていうと、雲の上の人って感じじゃないですか、そんな方達と共演なんて凄いですよね。下神さんに、「ディープパープルと競演ですねぇ。すごいですねぇ」って言ったら、「オレ何やんだろ?」って言ってましたけど(笑)

金子:いゃあ、トランペット吹きとかはピンとこないんですよ(笑)。僕は中学の時に、コピーバンドでベース弾いてましたからね。ていうか、ビートルズは難しかったんですよ。ディープパープルのほうがまだ簡単だったんですよ。

コメホカ:やっぱり、♪デッデッデー♪ですか?

金子:まずやるでしょう。まずそれからでしょう(笑)。簡単だからね。ギター持ってれば、共通言語みたいなところがあるから。(いとおしそうにサイン入りアルバムを見つめる)

コメホカ:中学の頃から持ってらっしゃったそのアルバムはお宝ですね。

金子:お宝もいいとこですよ。(強調して)

コメホカ:(サイン入りになって)ますますお宝度に磨きがかかりましたね。

金子:ホント。皆さん、現役で非常にテクニックもあり素晴らしいミュージシャンだったんで、余計に嬉しくなっちゃった。まだまだ全然現役!たいしたもんだ!

コメホカ:老け込まないですよね。音にしても、声にしても。

金子:そう!今回はね、フィルハーモニーでジョン・ロードが原案を出して、別の人がスコアリングしたのといっしょにバンドをやって。ちょっとプログレッシブ・ロックの流れ、さすがイギリス人っていう感じかな。
僕なんかから見ると、このイメージからどっちにいくのかな、ブルースに行くのかなって。ベーシックな音から、いろんな方向に行けるじゃない、ヘビメタにもいけるし。でも、綺麗なメロディーをロック的にする。プログレッシブ・ロックの流れに行くんだね、この人たちは。同時代に出ていたピンクフロイドとか、レッドツェッペリンなんかもそうだけど、ちょっとドロッとした、ドロッとしてるんだけど美しいというか。
やっぱり、イギリス人の感覚なのかなぁ。UKのソウルのポップチャートとかを聞いても、ちょっとドロッとしてプログレッシブなムードがあるじゃない。そういうのを持っているんだな。シンフォニーといっしょにやると、白人の美学というか、音楽を垣間見た感じがしましたね。日本人には合わないんだよね、プログレの方にいかれるとね。

コメホカ:あははは。

金子:それはしょうがない。国民性だから(笑) ついていけなくなっちゃう。わからない・・・あっそっち行っちゃったのねぇ・・・って、そういう方向なんだなぁこの人たちはって思うよね。
逆にこの頃(アルバムの頃)を分析できるって言うかね。70年代の頭にね、そういう精神論の中で作っていたんだなぁって。

コメホカ:スターダスト・レビューとも共演されましたよね。7月にライブアルバムが発売だそうですが、レコーディングも兼ねてですか?

金子:というか、レコーディングが主ですね。リハ3回でレコーディングはきつかった。

コメホカ:リハーサル3回ですか、ほとんどぶっつけ本番ですね。

金子:前から何回か誘いはきてて、秋にも一緒にライブをやることになりました、ツアーで一緒に。
スターダストレビューは何回か対バンになりましたけど、コーラスが上手くってねェ。「すげえ上手いなぁ・・・。俺らへたくそだなぁ・・・。」ってね。(笑)

コメホカ:スターダスト・レビューとのツアー、そちらも、凄い楽しみですね。


石井竜也”ZERO CITY-HAL-”ツアー ゲスト参加

コメホカ:石井さんのツアー『ZERO CITY-HAL-』にゲスト参加されましたが、サックスが入ると違いますね。やっぱり、金子さんのサックスが入ると最高ですよ、『トラブルフィッシュ』とか。

金子:そう言っていただくと嬉しいですね。

コメホカ:石井さんのノリも違ってたように感じましたよ。

金子:ソロが入ってる間は任せられるからじゃないの。

コメホカ:中盤を除いてほとんど出ずっぱりでしたよね。大変でしたでしょう?

金子:リハ2日しかやってくれないの(笑)。「まっ、大丈夫でしょ」とか言われて。

コメホカ:うわぁー大変だぁ。

金子:「ジャズとかに比べたら簡単だから大丈夫でしょ」とか言われるんだけど、僕はポップスのほうが大変ですよ、道筋がきちんとあるから。ジャズだってあることはあるけどね、ポップスのほうが難しい。ホーンだと一人でアレンジしたりできるけどそういかないし。歌とぶつかっちゃうとなぁと。

コメホカ:最終大阪公演では、マッチョな方に担がれたとかって聞きましたけど?

金子:今日の会場警備の人は体格がいいなぁと思ってたら、「ステージに出るんだよ」って(笑)
そうなんだ、体育大学の子達でも呼んだのかなぁって。いいですねぇ、体育会系の人たちは。

コメホカ:どういう意味ですか?(笑)

金子:好青年で、純真で、礼儀正しくて。そういう演出をやるらしいって言うんで。アンコールで、みんな出てきてるし、なんかやろうかなぁって、ソロの前に「肩車してくれない?」って頼んで(笑)

コメホカ:えっ!金子さんのほうからのリクエストだったんですか?

金子:そう。「は、はいー」って。曲の途中からだったんで、(頼まれた人は)担いだはいいけど、一歩も動けずでね。てっぺいちゃんが足引っ張ったりして・・・ちょっと動いてくれるといいのになぁって、思ってたんだけど、動いちゃ悪いと思ってたみたいで。打合せも何にも無しだったからね。

コメホカ:そうだったんですか。勝手に担がれちゃったのかと。金子さんの演出だったんですね。

金子:そうなの(笑)



「MINAKO」1STツアー プロデューサーとして思うこと

コメホカ:「MINAKO & THE GIRLS BROTHERS」の1stツアー『GIRLS STYLE GO! GO!.1』では、全国4ヶ所回られましたけど、いかがでしたか?

金子:最初はやっぱり緊張してて。随分リハはやったんですよ。全員揃ってというのは、なかなか出来なかったんですけど、近田とは夜通しコーラスの練習したりとか。ベースも凄い練習しましたよ。
でも、本番やるとまた全然違うんだよね。サックス持って出るのと全然違う。力はいっちゃうし。おかげでベースは、上手になりました。『ルーキー!』のレコーディングでも弾いちゃいました(笑)
ライブは、どこでも暖かく迎えてもらえましたね。やっぱり生っていいです。あれくらいの会場だと、近いからすごく楽しいですね。とりあえず、どんな感じのライブなのかっていうのを、お客さんにも、伝えられたし、お客さんが喜ぶポイントとかも分かってきたし。美奈子のいいとこはどこなんだろう、これからどうしようか、っていう事でいろんな事も試せるしね。

コメホカ:すごく、演る側も、見る側も、自然にハートフルなライブだったと思いました。

金子:今後は、楽しいのはもちろんだけど、美奈子自身が持っている、女性らしい、女の子っぽいところとか、女性が持っている年齢に関係なく、ロマンティックなところとか、そういうのをきちっと歌えたりとか、そういうところにもっと集中したらいいんじゃないかなと。今は、そう思ってます。
意外とアコースティックな部分とか楽しいんだろうなぁって、思う。曲数も随分増え、アルバムで曲数を稼ぐって必要もなくなったと思うので、あとは自分の活動ができるラインを作ってあげるのが、僕にできることかな。誰が揃っているっていうより、やっぱり歌ってその人自身が出るんだね。飾るってことでは無しに。だからこそ良いパフォーマーだと。美奈子の、踊りでは見えなかった、女性として持っているキャラクターっていうか。

コメホカ:アーティスト性ですか?

金子:踊っていれば、やなことも、ちっちゃなこともわからないでぱーって楽しくやっちゃうけど、歌の場合、いろんな事があるっていうことを歌ったほうが、そういうものに対して、どういうふうに感じているっていうことを歌詞にして歌ったほうが、伝わってくるっていうか。置いといてっていうふうにしないで、置いといた部分にちゃんと目を向け、そこを歌詞にしてね。実際、そういうふうに、そこに目を向けられてる歌詞が、アルバム『375』では随分入っていて、良いなと思ってるんです。

コメホカ:ライブで聞いてても胸に染みるっていうか、等身大だなぁって思うのがありましたね。

金子:そうね。エンターテインメントのできる部分もあると思うんだけど、もっとハートフルなっていうかな、そういうものが中心になりつつ、終盤は楽しいっていうのが一番望ましいかな。話とかも、ようやく緊張しないで、話せるようになったしね。カミカミですけども、緊張して何も言えないってことは無いですから。FM福岡のほうで鍛えられてるせいもあるんでしょうけど、それはすごく良い経験だなぁって。

コメホカ:そうですね、いままで喋らなかった事も喋っちゃうっていうところがありますね(笑)

金子:僕なんかもそうなんですけど、今までは、米米の時からずーっと、最後のところは、広いキャパのところで大勢の人に向かって話し掛けてたんで、そういう癖が出てしまう。でも、同じ 目線で、友達に話し掛けるように話したほうがいいよって。ここのところ、ずっと言ってる事なんで。曲の中では色々なキャラを演じてもそれは構わないけどね、彼女の人生がちゃんと歌で表現できたほうが、良いんだろうなって思ってますね。


後編:『ROOKIE!』に迫る!編 に続く。



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