Deep Purple with Big Horns Bee

去る3月24,25日に東京国際フォーラムで行われたDeep Purple日本公演に我らがBig Horns Beeがサポート、その模様を詳細レポート

レポーター:HIROさん (THANKS A LOT!)

 観に行くライヴと言えば、歌い踊るお米関係。それ以外は拳振り上げヘッドバングなヘヴィメタ/ハードロックに限るという私に舞い込んだ「Big Horns Bee、Deep Purpleと共演」の情報!これを知ったときは「是非観にいらっしゃい!そこのアナタ!」と名指しで呼ばれたキブンでしたよ(笑)。早速チケットと新幹線切符を手配して東京まで観に行って参りましたのでご報告〜♪


 Deep Purpleと言えば、ロック業界では勿論、一般の方でも「デッデッデー♪デッデッデデー♪」(←解るかな?こんなんで(^_^;))で始まる"Smoke on The Water"のギターリフは誰でも一度は耳にしたことがあるはずという往年の超大物ロックバンド。さりながら彼らの音楽の方向性はロックに留まらず、R&B、クラシック、ジャズなど多岐に渡ったジャンルをロックに織り交ぜて演奏するんですね。また今ではメンバーも年を重ね、年齢もほぼ50代。クラシックを学んだオルガニストのジョンロードに至っては今年で還暦という年齢です。しかし老いたりとは言えパープルのコンサートにですよ、我らがBHBが呼ばれちゃったんだからこれを快挙と言わずしてなんと言う!? ネットやイベンターの広告で「Special Horn section:Big Horns Bee」の文字を確認するたびに怪しい微笑みを口元から消せない私…(笑)。

 しかし、そんな私の浮かれゴコロも会場に入って一変してしまいました。だってステージの上、奥いっぱいにオーケストラの楽器でめちゃ荘厳な雰囲気なんですもん。怖じ気づいてしまいました。まず上手にはホルンやらトランペットやらの管楽器。その手前には大小織り交ぜたストリングス。音楽の教科書に載ってるヴァイオリンやらチェロやらコントラバスやらですね。そして下手にはフルートやらクラリネットやらオーボエやらの管楽器とハープ、その奥にはティンパニ、シンバルのパーカッションといった構成。総勢70名を越えるフルスケールのクラシックオーケストラです。私…こんなコンサート初めてですよ…(^_^;)。

 そしてステージ手前には透明の仕切を挟んでパープルのメンバーの使用する機材が置かれています。目を引いたのは中央のグランドピアノとハモンドオルガン。そして隣にはイアン・ペイスのドラムセット。個人的には最も憧れるドラマーです。そしてロジャーのベースアンプの後ろにおんなじ譜面台が5つ横に並んでいます。どうやらBHBの立ち位置はココのようです。右の背後にオケを背負ってペイスとロジャーの背中を見ながらの演奏になる訳ですね。それにしてもBHBがジョンロードのハモンド、ペイスのドラムと共演なんて考えただけでホント鳥肌。

 でもオケにブラスが16人もいて、それでも呼んでくれたって事はただ単に金管楽器の音が欲しかったのではなく、FankyなGrooveを、BHBの本職の音を要求されてるって事ですよね。もの凄く嬉しい反面、めちゃ緊張〜。(私が緊張しても意味無いんですが…(^_^;)ゞ)


 定刻をほんのちょっと過ぎて開演となったステージは、ジョン・ロードのピアノから始まりました。 それに重ねられる荘厳なオーケストラの音とソリストの伸びやかな歌声。まずは新日本フィルセレクトオーケストラの自己紹介と言った感じの厳かなシンフォニーです。ここでのBHBの出番はありません。

 続いて今回の公演のもう一人のゲスト、ロニー・ジェイムス・ディオというロックヴォーカリストの登場です。彼はロック史上最も有名な"Smoke on The Water"のギターリフを捻り出したギタリスト、リッチー・ブラックモアがパープルを脱退したのち結成したレインボーというロックバンドのヴォーカルでした。そんなわけで今度はパープルのメンバーがメタル寄りサウンドで会場に自己紹介です。 この後、パープルのロックをサポートする感じでオケの参入もありながらロックとオケの競演が続きます。「ファンキーホーンセクションとしてのBHBの出番はいつ来るの〜?」とじらされることしばし。


 クラシックとロックという一見全くかけ離れたジャンルのそれぞれが自分たちの音を披露した後の何曲目だったでしょうか。いよいよBHBの出番です。揃いのスーツを着て我らがBHBが立ち位置に現れました。上手から順に金子さん、織田さん、河合さん、小林さん、下神さんの並び。それぞれ御自分のメインの楽器を持っていらっしゃいます。メンバーの表情は少し硬めでした。やはりいつものステージとは勝手が違うためか緊張が大きいようです。何だか見てる私まで緊張しちゃって、最初は「パープルのメンバーやファンにBHBを知らしめてやるんだぁ〜」なんて軽いノリでいたのですが、ここまでのシンフォニーのあまりの大きなスケールに気圧され、ただひたすらドキドキしてました。

 会場の客席でこっそり緊張する私を置いて(笑)、ステージではペイスのハイハットからカウントが始まります。続いてこれぞBHB!って感じの軽快なブラスの音。それに絡んでくるジョンのうねりのあるオルガン。

 ファンクっていうよりは、ジャズ・フュージョンぽい曲でしたがブラスの魅せ所満載のGROOVYなステキな曲でした。ベーシストのロジャーが、演奏の途中で何度も振り向いてBHBのメンバーに笑顔でコミュニケーションくれるのが個人的に嬉しくて嬉しくて仕方なかったです。私もドキドキしながらなんだか父兄参観日のお母さんの様な気持で観てました。途中ね、河合さんがトロンボーンのソロパート貰ってたんですよ。ステージにパープルがいて、70人のオケがいて、でも芯をとるのが河合さん。うわあ、贅沢だ〜!河合さんのバックでペイスがドラム叩いてる。ホントに信じられないような光景でした。張りつめた表情ではいらっしゃいましたが、バホバホッと河合さんらしいスケールの大きいソロを披露してくれました。Big Horns Beeを知って10年、パープルなんて高校の時から(何年?って訊かないでね)聴いてますが、この両者の共演なんてこれまで想像も出来ませんでした。観ることが出来て本当に感無量です。

 パープルに「今日のゲスト、気さくな男たち”Big Horns Bee”でした!」って紹介して貰ってすっごい嬉しかったです。 BHBの大きな出番は2曲でしたが、ステキな経験でした。


 途中15分の休憩を挟んで第2部に入ります。ここではBHBの出番は全くなくオケとパープルのみの演奏だったんですが、ホント素晴らしかったので雰囲気だけちょっとお伝えします。「Concerto For Group And Orchesta」と名付けられた曲が第2部のメインでした。文字通りロックグループとオーケストラの融合のためにジョンが書いた3楽章から成る50分ほどの協奏曲なんですが、これが本当に素晴らしかった。純粋にメロディやら演奏技術やらも素晴らしかったんですが、私がもっとも魅せられたのはたくさんの楽器が重なって創られる音の厚みでしょうか。指揮者もオケもロックグループも、楽譜の上に計算された音の魅力を忠実にそして最大限に表現しようと、張り詰めた糸のような緊張の中からそれぞれの音を紡ぎ出し、一つの音楽に融合させて行く。それは壮大な音楽でした。いつも「みんなで楽しく踊ろうね♪」とか「熱くシャウトしようゼ!」っていうライヴしか観に行ったことなくて、座ったままじっと聴くコンサートなんて全く初めてでしたが、緊張の中から紡ぎ出される大きな厚い音の塊を全身で受け止めてたらなんか涙が出てきました。
 演奏が終わった後、指揮者とジョンが抱き合ってお互いを讃え合っていました。ホント、スケールの大きい音楽でした。ブラヴォー!

 そして最終曲です。スティーヴのギターから流れるリフ。有名なあのリフ。"Smoke on The Water"です!!客席が一瞬揺れたかと感じられたほど、会場の空気が異常な盛り上がりを見せています。いつの間にかBHBも再登場してます。ロニーも飛んできました。これは圧巻でしたね。「デッデッデー♪デッデッデデー♪」のあの有名なリフを管弦一体となって奏でます。スゴイ!だってヴァイオリンの弓があのリズムに合わせて束になって動いてるんですよ(笑)。ほんとスゴイ!ヴァイオリンだけじゃないです。客席で私の隣のオジサンの左手が、あのリフに合わせて宙空でギターもないのにフレット押さえてます(笑)。さっきのコンチェルトが「”楽”譜の音を正確に表現する音楽」なら、今度は「みんなで音を”楽”しむ音楽」。ステージ上の全ての演奏者から笑みがこぼれていました。またロジャーが振り返ってBHBに笑顔をくれるんですが、これに応えるBHBメンバーの表情がさっきと全然違うんだモン。ほんとに楽しそうで、金子さんは白い歯見せて笑ってたし、小林さんのクラップする両手は頭の上にあがってました。会場も負けてはいられません。「Smoke on The Water〜♪」ヴォーカルのイアン・ギランに煽られて大合唱です。ステージ上約100人の合奏、客席2000人の合唱。スゴイ!大勢で創る音楽ってもの凄いパワーですね。その一角に参加できてホント感激でした♪

 BHBのブラス、パープルのテク、オケの音の厚みと広がり。いいもの観ちゃいました。BHBのこんな活動またみたいなっ♪


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