前段の回路は前章のcirclotronアンプとほぼ同じで、ただ負電源だけ簡略化してドライブ段
のカソードは普通に接地としています。またOPTはcirclotron試作機に使った900Ωのが
あるので、2次側に5.3Ω(8Ω+15Ω並列)として1次側590Ωとして使っています。一方、擬
似電源となるケミコンは手持ちの関係で330μFとしましたが、本当はもっと大容量の方が低域特性が
良くなるようで、ラジオ技術誌2005/6月号で黒田徹先生がシミュレートした回路では470μFと
していました。ちなみにオリジナルは僅かに40μFでしたが、これは時代を考えると致仕方ない数値で
当時としてはそれでも精一杯の容量だったのだと思います。この方式のCSPP回路が考案されたのは、
それほど古い時代の話だった訳で、世界で一番初めにCSPP回路を考案したは、島田先生だったのでは
ないかという説もある程です。
それはともかく、本機出力段の電圧電流関係を表に纏めてみました。
動作状態 |
無信号時 |
クリップ(7W/5.3Ω)時 | クリップ(7W/8Ω)時 |
カソード電圧 |
27V | 52V | 49V |
カソード電流 |
46mA | 88mA | 83mA |
プレート電圧 |
268V | 242V | 247V |
差引きPK電圧 |
241V | 190V | 198V |
差引き電力 |
11W | 16.7W | 16.4W |
プレート損失 |
11W | 11.3W | 11W |
当初「差引き電力=プレート損失」と勘違いしていて、K先輩よりご指摘を頂き、出力として出て行く
電力とSG電流を考慮に入れると、クリップ時でも6CW5のプレート損失12W以内に収まっているよ
うです。ただカソード抵抗は割と大きな容量の抵抗が必要となるようで、また「クリップ(7W/8Ω)
時」というのは後ほど説明します。
という事で一通りの特性が採れましたので以下にレポートします。
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