普通の真空管式DEPPアンプだと、高域特性を100kHzまで伸ばせれば好結果というアンプが多
いのですが、サークルトロンや島田式のCSPPだと、200kHz以上まで素直に伸ばす事が出来るの
で、かなり魅力的な回路方式だと思いました。このような広帯域の特性が得られるのも、CSPP方式に
よりOPTの1次2次間の巻線比が小さくなって、優れた特性のトランスが巻き易いというOPT製造上
の恩恵だろうと思います。
ただ実際に本製作に掛かるとなると、OPTとチョークとで四つのトランスの実装が問題になりますし
カソードチョークも前章の実測電流値にあるように、最大では80mA以上の電流の流せるものが必要で
今回チョークに使った東栄OPT−10P(8kΩ)の最大電流は70mAですから、本当はもう一回り
大型のOPTの方がベターです。あるいは5kΩ用とかの、もう少し巻数が少ないOPTでも良いかも知
れません。(巻数が少なければ、それだけ太い巻線が使えて小型にもなる)ただ、上下のDCバランスが
崩れた時の事を考えると、あまり小さいチョークでは不安が残りますので、カソードチョークの選択につ
いては、まだ検討の余地があるように思います。
雑 感
既に述べましたが島田式CSPPアンプを追試するに当たって、カソード抵抗式からチョーク式に変更
すれば、出力ロスが少なくなって最大出力が上がる事は予想していましたが、正直言ってこれ程とは思い
ませんでした。島田先生の元記事では、動作原理の説明図はチョーク式としているのに、実際の試作機で
はカソード抵抗のアンプとして組んでいたので、私もまずカソード抵抗で追試して見たのですが、今回の
追試アンプを組んで見て、チョーク式の方が断然有利と思いました。
もしも、島田先生が当初からチョーク式で試作機を組んでいたら格段に実用的なセットになって、これ
を追試をする作例も少しはあったろうと思います。この試作機を組む為に既存の島田式CSPPアンプの
作例を探したのですが、ネット上でも雑誌等でも見つからなかったのは、カソード抵抗式のあまりの効率
の悪さが諸先輩方に敬遠されたのだろうと思いますので。
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