一方、サークルトロンアンプではフローティング電源の各巻線を一つの電源トランスで纏めようとする
と、巻線間に発生する静電容量によって左右のクロストークが悪化するので、本機では各B巻線間にシー
ルドを入れるという、かなり特殊な対処法を施していますが、当初はシールドの無いトランスを用いてい
た為に、クロストークは1kHzから上昇を始めて高域はさらに急激に悪化するという状態でした。しかし
改良後は上記のとおりで、何ら問題ないレベルに納まっていると思います。
雑 感
文頭でのノイズというのは、詳しくは次章で述べますが球がヒートアップするまでの間にジーノイズが
出る現象で、これは10秒程度なので実用上は我慢できない程ではないのですが、微妙に不具合を抱えた
未完のアンプという印象が付きまとってしまいます。また本機のように電源の各巻線間にシールドを入れ
るというのは、通常のトランス屋さんではやってもらえないと思うので(ARITOさんに感謝!です)
この方法でのクロストーク対策は今回一回だけの特殊な対処法でしょう。
ただ本機は、音質的にも特性的にも充分満足出来るアンプだと思うので、とにかく電源回路だけ何とか
工夫をしてノイズとクロストークの問題をクリアすれば、(とりあえずはミュート回路を入れて、ノイズ
が出ないようにしようと思いますが、)PPアンプとして、サークルトロン方式はトップクラスの魅力的
なアンプになると思います。
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