UKを知ろう


「ブレア首相、とことん話そうよ」(IRAの再停戦宣言)


英国北アイルランドのカトリック系武装組織であるアイルランド共和軍IRAと英国政府
の争いについては、ロンドン憶良見聞録「爆弾仕掛けたよ」で紹介しましたが、
1997年7月19日、IRAは20日正午からの再停戦を発表しました。

IRAは1994年9月にいったん停戦していましたが、強硬な保守党の英国政府との政
治交渉が進展しないために96年2月から爆弾テロを再開していました。
今回再停戦をしたのは、先般の総選挙で労働党が勝利し、ブレア新首相が「IRAが再停
戦すれば6週間後に、IRAの政治組織シンフェイン党の和平協議参加を許す」と、一歩
前向きな提案をしたからです。
この和平協議は9月から始まり来年5月までに、北アイルランドの将来の帰属を含む
諸問題の結論を出すとのことです。


アイルランドへの帰属を望むカトリック系住民と、英国残留を望むプロテスタント系
住民の間の、中世から続く宗教・民族戦争がどう解決されるのか、興味しんしんです。
もし北アイルランドがアイルランド共和国に合体すると、「イギリスという国はない」
で説明したようにUnited Kingdom(UK)はイングランド、スコットランド、ウェールズ
の三国つまりGreat Britain(GB)になってしまいます。
支配階級であるプロテスタント系住民は、アイルランドへの帰属に強く反対するでしよう。

カトリック系住民がどのような生活を送り、IRAが英国政府軍やプロテスタント系住民
とどう抗争してきたか、IRA戦士の悲劇を描いた映画「デビル」を観るとその一端が窺
われます。

英連邦の独立国家シンガポールは、多民族・多宗教国家ですが、民族・宗教紛争を回避し
統一国家を建設するため、居住地も意識的に混在させるなどの配慮をしています。
ある民族が支配または被支配階級にならぬよう配意されているようです。
昨年シンガポールを訪れた憶良氏は、「前指導者リー・クァン・ユー氏は北アイルランド
紛争を反面教師としたのであろう」と感じました。

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