UKを知ろう


イングリシュ・ガーデン散策

第1話 中流住宅街の街並みとその前庭のガーデニング


散策の前に

最近とみに「英国風のガーデニング(園芸)」が流行っているようである。
現在の日本の住宅事情では、伝統的な庭園を作るには広さがなく、また庭師を
入れると維持費も嵩むという事情があるのかもしれない。

一般的に日本人は舶来趣味があり、積極的に海外の文物を取り入れるけれども、
すぐに飽きたり忘れるのも早い。
「英国風のガーデニング」と言われているスタイルが本当に日本に根づくのかど
うか。気候・風土・居住環境・経済事情などの差があるので、時間の経過を見な
いと何ともいえない。

しかし「英国風のガーデニング流行」と聞けば、昔のアルバムを開いて、ドライ
ヴしたり、旅をしたり、散歩したりした時に、何気なく撮ったスナップによって、
公園やマナーハウス(貴族の館)や庶民住宅などのガーデニング(園芸)ならぬ
ガーデン(庭園)散策をしてみよう。
意外な英国の素顔が見えるかもしれない。
(ただ何分にも25年も前の素人写真である。ピンぼけや劣化はご容赦願いたい)

小奇麗な街並み

まず手始めに、身近な中流住宅街を眺めて見よう。

日本の住宅街は、たいてい石やコンクリートブロックの塀やフェンスあるいは稀
に生け垣に囲まれているが、どちらかといえば基本的には一軒一軒が閉鎖的な構
造である。

一方英国の中流住宅街では、前庭と後庭があり、通常前庭は開放的なオープン・
ヤードである。
そのため自動車道路・舗道・前庭・家・後庭という設計で、住宅街の景観が広い。

無秩序に住宅街が形成される日本と、都市計画があって住宅街が作られる欧米と
決定的な差異がある。


大事なことは、住宅街の住民がお互いに景観美を共通の資産として、保存しよう
という意識がある点である。

ちなみに憶良氏が住んでいたアボッツ・ガーデンでは、毎年前庭のコンクールが
あった。競うためというより、美しい庭を通行人も見て楽しむコンクールである。
このように住宅街の街並みとガーデニングは一体のものとなっている。

「英国風のガーデニング」として個別の家庭のガーデニングが紹介されるケース
が多いが、その前に「住宅街と個人のガーデニングの調和」という面を見習って
も良いのではなかろうか。

「英国風のガーデニング」を紹介すると、否応無しに我が国の土地政策や住宅政
策や都市計画の貧困さを痛感する。

何兆円もの税金を無駄遣いしている日本という国は、本当に庶民がガーデニング
を心から楽しめるような経済大国なのだろうか。

住宅街の街路樹と前庭のガーデニング(いずれも元居住地近隣)
個別のガーデニングの前に、この見事な景観のデザインを

満開の花を引き立てる低い生け垣の美観


落ち着いた色調に統一された建物


通行人の目を楽しませる前庭の花々



芝刈りは旦那の仕事
落ち葉は焚かないで
車庫建て替えていいですか

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