ロシア旅行記(モスクワ篇)


 ニーズニからまた夜行列車でモスクワ帰りです。列車の側面には 写真のように行き先の看板が張ってあります。列車で思い出しましたが、パリからリ ヨン行きの列車が出る駅はパリのリヨン駅です。ANAのスチュワーデスに機内でいろいろ所要時間等 を尋ねたのですが、全然わかっていません。リヨン行きの飛行機の時刻を教えてくれ ました。同様にモスクワからサンクトペテルブルク行きの列車が出る駅は、レニング ラード駅で(これだけ名前が変わっていない!)、サンクトペテルブルクで到着する 駅はモスクワ駅です。もっともホームにはどこの駅とも書いてないので、知っていて も知らなくても同じ様なものですが、駅に行くときには、自分の行き先を言えばよい ので便利とも考えられます。で我々が着いたモスクワの駅はカザン駅という名でし た。寝台車には各車両ごとに女性の車掌が着いています。うら若き女性をイメージし ていたのですが、残念ながら違いました。列車のゲージは新幹線より広い広軌で、列 車は精悍な感じがします。列車とホームの間はロシアらしいおおらかさで 50 cm位あいています。片手に 30 kgのスーツケース、片手に 5 kgの鞄をもって、雪のプラットホ ームに移るときは、バランスに気をつけて慎重に降りました。

1.jpg 写真1.夜行列車

 土曜の朝着いたので、土日の2日間は休日です。見物はなにはともあれ、クレム リンです。でもこの日も寒くて時々みぞれ。傘を持つ手がかじかみました。入り口 で、若き女性のガイドから声をかけられ、約1時間の案内で100,000ルーブルと言うことで雇いました。この写 真の子です。とても流暢な英語で立て板に水のごとく説明しておりました。通訳の子 も(と言っても皆既婚です)ロシアの人はモスクワの学校で習っただけだといいます が、とても上手です。それに可なり長い間しゃべった後も淀みなく通訳します。彼女 らの記憶力には舌を巻きました。この子もてっきり文化系の学生かと思ったのです が、なんと今年卒業のcivil engineer と言うことでした。

 クレムリンに入るにあたってエピソードがありました。革命中、 寺院など多くの文化遺産が破壊されてしまいました。そこで市か政府か知りませんが、その復旧の為に特別税をとっているそうです。また、クレムリンのような施設に入るとき、ロシア人は外人より余分にお金を払わなければならないとか。(だとするとかっての中国とは逆ですね)で、この女学生、正規のお金を払わないで入場しようとしたらしく、門番につかまってしばしとっちめられていました。

7.jpg 3.jpg
写真2.クレムリンのゲート 写真3.大砲 の王様

 この種の歴史的施設を見るときにはある程度その国の歴史の知識 があるほうが興味が増します。ロシアは大国ですが、大づかみの歴史はヨーロッパに 比べるとダイナミックではあるがずっと単純だと思いました。そういえば今年はモス クワ建設850周年とかで、いたると ころ850とし言うシンボルであふれ ています。つまり1147年に出来たと いうことです。その後1237から 250年間がタタールのくびきという 時代、それからロマノフ朝、ナポレオン戦争、第1,2次世界大戦、ロシア革命、ペ レストロイカをへて、1991年に CISへと、単純にはこの程度の知識 で概略は理解できるような気がします。

4.jpg 6.jpg
写真4.モスクワ 850マークの入った土産もの 写真5.モスクワのフリーマーケット
モスクワの地下鉄3号線の Izmailovskii Park 駅を降りると、このフリーマーケットがある。入場料 2000ルーブル(約40円)を支払って入場する。中はなかなか広く 500は下らないと思われる数のショ ップが開いている。全部回るだけでも2時間くらいはかかる。民芸品、絵画、じゅうたん、ドイツ製オールドカメ ラ(ライカ等)、コイン・切手などがある。お土産の購入によい。

 アルバート通りは日本で言えば銀座通りですか、そんな華やかな 印象ではありません。アルバート広場の地下道のなかには似顔絵書きが大勢居て、一 人のお客に3〜4人の画家が描いていました。一番良いのをかうのでしょうか。筆者 もフリーマーケットで描かれてしまいました。少しは似ているでしょうか。
 8.jpg 2.jpg
写真6.筆者の似顔絵 写真 7.地下鉄のホーム

 モスクワには寺院、博物館、家屋など数々の文化的遺産もありま すが、ボリショイ劇場もその一つでしょう。世界的に有名なオペラが、$30+20%のコミッションでロイヤルボックスの隣で 見られたのは収穫でした。そういえば観光シーズンでないと言うこともあったのでし ょうが、モスクワでは他の大都市と違って日本人にほとんど会いませんでした。で、 ボリショイ劇場でも期待していなかったのですが、さすがに日本語のあらすじ説明書 がありました。地下鉄も立派な文化的資産でしょう。各駅がそれぞれ特徴をもった設 計であること、惜しげもなく使った大理石と彫刻、シャンデリアなどの装飾、ゆった りとしたホーム。モスクワの地下鉄は同じ場所でも路線ごとにまったく別の名前が着 いています。またメトロの駅は通りからちょっと引っ込んだところにあって目立たな いので、極端に言うと自分の出てきた駅から100 mも歩いて戻るともう入り口がわからないなどということも あります。またエスカレータは長いだけに猛烈なスピード動いています。日本のおば たりあんには乗るのが難しいかもしれません。

 ロシア正教の寺院は、カソリックの寺院と違った点がいくつかあ ります。十字架の縦棒の上に、通常の横棒のほかにもう一本短い横棒が、下に斜めの 短い棒があります。上の横棒は"INRI"つまり 「イエスはユダヤの王なり」を表わし、下のは天国に登るもの、地獄に落ちるものを 表わすそうです。教会音楽はボーカルのみで、オルガンはありません。キリストの張 り付け像もあまり見ません。またよく記念写真用に顔だけ自分をいれる人形がありま すが、あのような形で顔の部分に聖人の似顔絵を張ったものがよくあります。クリス マスは1225日でなく、1月7日になります。サンタクロー スはいないことになっています。

 モスクワでは9月から4月まで暖房が欠かせません。そのため市 中の至る所に発電所のような暖房用のボイラープラントがあり、時には道路脇を温水 管が走っています。その他郊外ではアパートがどんどん建てられておりました。

 泊まったホテルはフランスとの合弁のホテルでしたが、ノボテル と同じように中央が吹き抜けになっており、真ん中にロビーレストランのようなもの があります。最初に泊まった日の夕食時に、脇のバーで一人の男が歌をがなっていま した。ピアノ伴奏付です。これがロシア風カラオケだそうです。困ったことにこの日 は第二の歌い手が現われず、この酔っ払い的な大声が2時間以上もホテル中にひびき 渡っていました。ロシアのレストラン、バーでは生の演奏がどこでも出しもののよう でした。

 最後にモスクワの道路ですが、あなぼこだらけです。また市内に は直線道路はきわめて少ないのか、混雑を避けるためなのか、一方通行のためなの か、工事中のためなのか、運転手はなかなか地図の上ではたどりにくい走り方をしま す。車はきわめて汚く、ガラスなどひびが可なり入った状態で走っている車も多々あ ります。東京の7環に相当するリングという道路がありますが、片側2車線では満杯 状態で、拡幅工事中です。市内も至る所工事中です。(97.5)

←ホームページに戻る ←ニーズニ篇を読む ←サンクト・ペテルブルク篇を読む ←ロシアの写真展へ