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ベンチャー企業の経営管理

平成11年3月24日に開催された東京総研株式会社主催
「第20回 未公開株式研究会 テーマ:ベンチャー企業の経理の仕組み・作り方」
の講演録です。

T-1 ベンチャー企業の経営管理・経理体制の構築の必要性

 本日のテーマを選んだのは、私が昭和61年に会計士の試験に受かって以来十数年、一般に株式公開準備のテキスト等で言われているような、経営管理・利益管理ができるような管理体制という立派な部分と少し違ったところで、むしろ経理体制とか管理体制を破綻させないという意味合いでの体制の構築、これがどうも必要なのではないかなと思うことがしばしばあったからです。

 最近、実際にパソコン販売のベンチャー企業、アキアがカシオの傘下に入るという話もありました。その記事が出ていたVenture Clubという東洋経済新報社の雑誌から簡単に説明してみますと、「在庫部品の評価損、製品在庫廃棄損が発生し、1億4400万円の赤字(推定)に転落」したが、元取締役が「管理体制を固めていれば赤字にはならなかった」、「在庫管理、経理などの情報システムが機能していない。人材もいない。投資をしないとダメだ、と何度も忠告したが、飯塚さんは聞き流していた」(1999年4月号47ページ)と、発言したというようなことが記事の中にあって、私が「勝手な推測をするなら原因はファブレスを捨てたことによる過大投資か不良資産の発生のいずれかであり、経営管理体制の弱さないしは崩壊があったということになろう」と推測したのが、ズバリ当たっていたということです。一般にベンチャーの破綻と言うと、オーナー企業で経営については素人の技術屋社長が、ベンチャーキャピタルその他から金をジャブジャブもらったもので過大投資に走ったという話が多かったようですが、アキアの飯塚さんというのはデルコンピューターの日本での立ち上げをした方で、その前も外資系コンピューター会社でコンピューター業界にも詳しく、経営者としての経験も積まれていた方で、そういう会社ですら破綻する、という点がやはりショックだったと思っております。
 
T-2 自己紹介と注意事項
 私は、中央監査法人という監査法人に昭和61年に入って平成8年までおりました。主として株式公開準備の会社、あるいはそれが終わった直後からずっと継続してという仕事がほとんどでした。そういう意味では、売上高数千億とか兆に乗るような会社はほとんど知らないですが、反面、売上高30億とか200億程度の会社の泥臭い仕事ばかりやっていたという経歴です。平成8年に独立しましたが、株式公開がらみの仕事を少しは持っておきたいなあというのがあり、平成9年、“ベンチャー支援の業界にいるなら一度会っておくといいよ”とのことで、監査法人の中地宏先生にお会いしたところ、「パソコンがらみの会社の仕事が入ってきたら是非頼みたいから、名前だけでもメンバーリストに載せさせて」と言われて、名義貸しくらいのつもりかなと思いましたら本当にそういう関係の会社が入ってきまして、現在1社お手伝いさせていただいているという形です。
 この後、私が体験したベンチャー企業破綻の事例が10例ほど出てきますが、本日いらしたみなさん方はそのくらいのベンチャー支援業界にいらっしゃる方だと思いますので、あ、その会社はあそこかな、とわかってしまう方がいらっしゃるかと思うんですけども、守秘義務の範囲内で、知っている者同士で内輪話しましょうという感じで捉えていただきたいと思います。また、山一證券やヤオハンをやっていた中央監査法人にいたからこんなひどい目に遭ったのかと、ほかの監査法人のクライアントだったらもっときちんと指導されてまともな会社ばかりなのではというのも誤解です。オーナー企業ってそんなものではないですし、どんな法人でも株式公開の現場にいた方、主としてインチャージとか主査とか呼ばれる形で現場監督をやっていた方に話を聞けば、ひどい目に遭いましたという話の一つや二つ出てくるということですので、みなさんのかかわっている銀行さんであれば融資する時、ベンチャーキャピタルさんであれば投資している時でも、こういうことが起こるかもしれないよという怪談話なのかもしれないです。  

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