ある書簡「優の話のこと」

From: ワタルさん
At: センチメンタルジャーニー BBS
Date: Sat, 11 Jul 1998 19:54 +0900
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神木さん、こんにちは、ワタルです。優の回、またまた見直しました。

──琴音のイメージについて──
まずは、7月7日(火)18時48分のカキコの曖昧な箇所の補足です。
「ミサトの人物像を受け継がせることによって、[琴音が]「ホントは信じ
たいの。助けて!」と叫んで、もがいている彼女[=琴音]の心の有様が、
視聴者に切迫してくると思えたのですが。」

この箇所が曖昧な表現になってしまいました。ですから、ミサトが救われ
たかどうかについては、私の念頭にありませんでした。ただ、EVAは、
これをあまり見ていないと言える人々(私を含む)でさえも、そこに登場
したキャラの人物像をある程度もつことができるという意味で、いわゆる
共通言語としての役割を担うことができます。けれども、人物のイメージ
を利用したとはいっても、そのもとのキャラの解釈まで可能にするもので
はありません。

──優の回の名場面について──
「勝ったつもりでいるだろうけど、偶然だからね。偶然」「はい」
このセリフには私も感動を覚えます。私も名場面にはこのセリフの場面を
選ぶつもりでした。録画を見直したときも同様に感動したのですが、しか
し、それにもまして、私は、流星群が「奇跡的に」出現したときに琴音が
見せた表情の変化に強い印象を受けました。そして、その印象が上記のセ
リフに対して一層の意味付けをしているように思われ、こうした理由から、
結局私は、名場面としては、上記のセリフの場面ではなく、流星群が現わ
れたときの琴音の表情を描いた場面を選択することにしました。

「……私に信じる気持ちを起こさせるために。それがなおさら嫌だった。」
このセリフは、ピュアな愛がないと言っている自分の方がピュアな愛を求
めている、ということを、優に悟られているのではないかと思って発言さ
れたセリフだと理解できます。でも正確には、このセリフは、「存在しな
いと言った自分こそがそれを求めている」ということを琴音自身が意識し
出したことの表われであると思いました。この辺りの場面から星が流れる
場面までの二人の心境の変化の画き出し方が、とても気に入っています。

神木さんのおっしゃるように、流星群を見ることができたといっても、確
かにそれが「ピュアな愛が(男に)あることの証拠」にはなりません。琴音
は、「証拠」を求めて優についてきたわけですが、流星群を見た時点で、
もはやそうした「証拠」を求めることはどうでもよく、星が流れたことに
素直に感動している自分がいたということに気づきました(これは私の勝
手な解釈です)。このことを振り返って言われたのが、「勝った……」の
セリフです。このセリフがある位置は、作品の構成上、最後の部分です。

この最後の部分で言われている「私は言えるかな、何となくだけど、信じ
てるよって」。ほのかの父親の恋愛の定義にも通じますよね。この作品で
最初に発言されるセリフは、「天使ってたぶんいる。……」という琴音の
言葉です。

──優の表情について──
神木さんへ。優の数ある表情の中で、唯一緊迫感の伝わってくる、雨の中
で流星を待つときの優の表情についてどうお感じになりましたか。琴音が
「ねえ、もうあきらめて帰ろう」というセリフを言った直前の場面です。こ
のときの優の表情も名場面に選びたかったです。「流れたよね」という問い
かけに対して「はい」と答えて、表情がアップの部分も選びたかった。

下記のカキコミのことでもっと詳しく説明を聞きたい部分がたくさんあり
ます。いろいろ語りながら優の話を神木さんと鑑賞してみたいです。掲示
板では、長く書くことは憚れるので、どうしても圧縮した書き方になって
しまいますので。とは言いつつも、尾島某さん、長くなってすいません。

では……


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