ハイドパークのシマリスくん
覚えているのは、ジャックのボトルが空になっちまって買いに行こうと思ったけれど体が言うことを聞かなくて、空のボトルをなんとか玄関まで持って行って、そのついでにグラスを流しに置いたらなんだか物凄い音がして、割れたかなと思ったら割れてはいなかったので安心して、トイレに行って、電気を消したかどうかは覚えていなくて、ベッドに倒れ込んだということだった。時計を見るともうすぐ昼だった。もうすぐ昼だ、と思って昨晩の電話を思いだした。午後の飛行機にはこれからじゃ間に合いやしないなあ。僕は内心そういう状態になることを望んで、ここまで酔払いに追い込んだ自分にとっくに気付いていながら、一応声にして言ってみたのだ。ゆっくり起き上がると、ぐらあん、と頭の中で何かが重心を求めるように転がった。足元がふらふらふらふらする。わざと足をもつれさせて、壁とかにぶつかりながら流しに辿りついた。グラスが割れていた。ありゃあ、と思った。やっぱ割れてたか。凄い音だったもんな。じゃさっきの記憶ってのは希望的観測がそのまんま記憶になっちまっただけっつうことなのか。頭がふらふらしてると変な所で考えがはっきりとする。割れてるグラスを見て思いだしたことがあった。 |