「!」
「アスラーン!」
私たちの再会は、実に一年ぶりだった。
連絡は取り合っていたけれど、生身で会うのはあの日、別れてから初めて。
アスランの笑顔はどこも変わっていなかった。
穏やかに笑う大好きな幼なじみ。
私は?
アスランの瞳に、どう映ってるんだろう?
変わった?
変わらない?
・・・変わったんだよ、アスラン。
たぶん、私は変わった。
「キラは? キラもプラントへ来るんでしょう?」
私の問いに、アスランは目をそらした。
「まだ・・・わからないって。」
アスランの表情が、とても辛そうだった。
忘れてた、私。
自分は一年ぶりにアスランに会えたけど、アスランはついさっき、キラと別れたばかりだ。
「ごめんね、アスラン。私、アスランに会えるのが嬉しくて・・・。」
キラとの別れを、考えていなかった。
ずっと一緒だった幼なじみ。
私が先にいなくなってからも、2人はずっと変わらない友達で。
私がいなかった間に、2人はもっともっと仲良くなっていたんだろうな。
私が、人を殺す訓練をしている間。
今おかれている立場を、アスランに話す気にはならなかった。
いずれはわかってしまうこと。
わざわざ話すこともない。
今はまだ、平和だから。
見せかけだけでも、平和だから。
けど。
それからしばらくして、見せかけの平和も終わった。
“血のバレンタイン”
ユニウス・セブンに打ち込まれた、ナチュラルの核ミサイル。
一瞬にして奪われた、無垢な命。
20万人を超す犠牲者の中には、アスランのお母様レノア・ザラと、私のお母様、レイラ・がいた。
家の運命も、核ミサイルの前には無力だ。
その悲劇的な出来事が引き金になり、ナチュラルとコーディネーターは決別した。
あれから一週間。私たちは無気力だった。
私はアスランと顔を合わせるたびに、涙をこぼしていた。
私たちにとって、お互いの母も、母のような存在だった。
どちらを失っても悲しいのに、私たちは同時に失ってしまった。
レノアおばさまは、私に訓練が行われているのを知っていた。
プラントに戻られた日、母にも内緒で呼び出された。
「に・・・。貴女に背負わせてしまって、ごめんなさい。」
それは禁句だったのに。
家に生まれれば、当然のことで。
私には、選ぶ余地もなかった。
父も母も当然だと言っていた。
そうと生まれたからには、そうとしか生かされない。
けれど、レノアおばさまは、私に謝った。
嬉しくて、涙がこぼれた。
そして、今まで以上に訓練に取り組んだ。
私は、ザラ家のための暗殺者。
私は、“人を殺せ”と、その遺伝子を調整されていた。
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