が眠りについてから数分後、電力が復旧した。
「ー。無事かぁ?」
ナスティが部屋の毛布をかかえて、トレルームにやってきた。
傍らにはアスランの姿もあった。
「何? 寝てんの?」
は地面に転がって、バスタオルに包まっただけで眠っていた。
「ったく。据え膳喰わぬは武士の恥、だぜぇ? イザーク。」
武士じゃなくて俺は戦士だ、とはあえて突っ込まない。
イザークはアスランをちらりと見やった。
「あいにく、その気もないような女と寝る気はないんでね。」
アスランがぎくりとその身体をこわばらせた。
けれどすぐに偶然だとかぶりをふる。
イザークが何もかも知っていることを、彼は知らない。
「何をぼさっとしている。早く毛布をよこせ。」
ナスティの手から毛布をとりあげると、イザークはそれでを包み抱き上げた。
こんな軽い身体の、どこにあんな力があるのか。
そしてそのまま、アスランに預ける。
「えっ?・・・あ・・・。」
「俺はシャワーを浴びてから部屋へ戻る。こいつを早く連れて行け。」
預けられたアスランの腕の中で、はすやすやと寝息をたてていた。
「あれ?」
目を覚ますと、見慣れた自分の部屋にいた。
上手く記憶がつながらない。
「・・・あぁ。オハヨウ、。」
となりのベッドにはちゃんとナスティもいて、私はますます混乱した。
「あれ?」
「なんて顔だよ。昨日アスランと俺で、つれて帰ってきてやったんだよ。」
そうだったのか。
「ありがとう、ナスティ。」
「どうも。・・・というか、。」
「ん?」
「お前、よくあんな状況で爆睡できたな。」
ナスティがあきれたように言う。
「あんなツラしてたって、イザークは男だぜ?」
それを心配してたのか、ナスティ。
「何言ってんの。大丈夫だよ。」
「いいや、大丈夫じゃ困るんだ!」
は?
「オレは“アカデミー卒業までに心身ともにイザークのモノになる”にカケてんだ!」
ナスティさん、なんですと?
「前回おいしい思いしたんだから、今回も頼むぜー♪」
・・・・だから、そのカケはどこで行われてるの・・・・?
大番狂わせが起きた。
卒業試験が始まっている体術のテストでのこと。
対戦相手の組み合わせは、クラス全員の一致により私とアスランの対戦が最終試合と決まっていた。
当然その日まで、2人とも全勝でむかえると考えられていた。
ところが今日、アスランvsイザークの対戦で、接戦の末イザークが勝利した。
最終日の最終順位決定に、大きな影響を与える一戦になった。
「弔い合戦ー!」
「お前は俺の婚約者だろうがあぁぁぁっ!」
かたきは討つ、とばかりにイザークと対戦した私は、小さいことを最大限有利に働かせて勝利した。
体術とナイフ戦。
この二つでトップをとらないと“赤”は着れない。
自分にそう言い聞かせて、私は試験に臨んでいた。
季節はすっかり、春へと調整されている。
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【あとがき】
妊娠前の体重まで、あと2kg・・・。この2kgが落ちない。
イザークにお姫様抱っこしてもらうために、なんとしても落とさないと!!
せっかくのお姫様抱っこなのに、ちゃんは覚えてないんだろうな。
もったいない。