翌日、アスランがひとりでいるのを見計らって、部屋を訪ねた。
「アスラン。」
「。・・・・どうしたんだ?」
アスランは、いつもと同じ笑顔をむけてくれていた。
許すとか、許さないとかじゃなくて、なかったことにしてくれたんだと、理解した。
アスランらしい優しさだった。
「アスラン。」
私はもう一度名前を呼ぶと、アスランに飛びついた。
昔と同じように。
アスランが好きだよ。
それ以上に想えなくて、ごめんね。
私の頭を優しく撫でて、アスランが言う。
「バカだな、俺たち。」
いつも自分ばかりを悪く言うアスランが、私ごと悪者にしてくれたのが、嬉しかった。
「うん。バカだね。」
そうして、私たちの中にあったわだかまりが、ゆっくり解けていく。
「みんなに、話しておきたいことがあるの。」
それから部屋にラスティ、ニコル、ディアッカに来てもらっていた。
昨日イザークに全部話したことで、みんなにも話せると思ったから。
自分の遺伝子のことを。
「もっと頭いいのかと思ってたけど、案外ザラってばか?」
ナスティが怒ったように言った。
ニコルもとなりで顔をしかめていた。
「でも、なぁーんかちゃん、吹っ切れてない?」
ラスティは笑顔で聞いてきた。
「わかる? 時間と共に受け入れちゃったみたいなの。」
私の答えにディアッカが笑った。
「そりゃいいや。」
でもね。
受け入れられたのは、みんながいたからだよ。
みんながいてくれたから、私は自分の力に悩まないでいられたの。
だってひとりじゃ、脱け出せなかった。
「ところで、なんでココにイザークちゃんはいないの?」
ラスティがキョロキョロしながら言う。
「どーせ昨日のトレーニング中に話したんだろ?」
ナスティが言うと全員が、あぁ、とうなずいた。
えぇ?! みなさんご存知なのね・・・・?
「アー・・。それじゃあ、もしかしてー・・・。アレも聞いた?」
ディアッカが言い難そうに聞いてきた。
婚姻統制の相性調査のことを言ってるわけだ。
ディアッカはイザークと同室だから、エザリア様からの通信を全部聞いてしまうのだろう。
「あははー。・・・きいた・・・。」
笑ってごまかすつもりが、ため息混じりの答えになった。
「そうですか。家同士が動くとなると、避けようがないですよね。」
ニコルがうなだれながら言う。
この人たち、話つつぬけなのね・・・。
「イザークちゃん、ラッキーだよなぁ。」
「だよなぁ。あいつがに惚れてんのはバレバレだし。」
ディアッカ?? どこがバレバレ?
私、『気に入ってる』としか言われてません。
しかもそのあと、えらく挑戦的な態度でした・・・。
「でも、こういう結末、イザークは好まないんじゃないですか?」
「。イザーク、なにか言ってたか?」
「へ? いやあ・・・私を気に入ってるけど、他力本願は気に入らないから、卒業までに落としてやる、とか・・・?」
バカ正直に答えてよかったものか・・・・この4人に。
私の言葉を聞いて、4人は不敵に笑いあった。
「「「「 なーるほどね。 」」」」
イザークのニヤリ笑いと、この4人の笑いに、違いが感じられないのだけれど?
一番の貧乏くじを引いているのは、自分なんじゃないかと思った。
父から、正式に婚姻が成立したと告げられたのは、それから4日後のことだった。
事前にたくさん驚いてしまったので、今さら驚くも何もない。
このことで父に多少の不信感を持ったのは、事実かもしれない。
一番気になるのは、私の役割がどうなるのかということ。
そう簡単に放り出せるものじゃ、ないはずだ。
「もちろんなくなるものじゃない。
だが、婚姻統制調査の結果が、まさかあれだけの数値を示すとも考えていなかったからな。」
つまり、後者をとったってことなのは、容易にたどり着く結論だった。
そこまで出生率の低下が深刻化しているのは、瞭然だったことだけれど。
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【あとがき】
日本も深刻ですよ〜!少子化。
子供を産む人と産まない人が出てきた結果ですかね?
ライナの周りには3人目出産!って人も多くて、
どうも世間で騒がれてるほど、少子化って感じないんですけど。