「放課後、私の部屋に来るように。」
ユウキ教官に言われて、私は今教官室にいる。
「これから話すことは、あくまで私の判断だよ。」
前置きされて話された内容は、私が日頃考えていたことと同じだった。


部屋に戻ってから、ナスティにそのことを話すと、
らしくできることが一番じゃねーの?」
と言って笑ってくれた。
もちろん、
「オレはと同じ隊に行けりゃいいなって、思ってたぜ。」
と言ってくれるのも忘れずに。

アスランに話すと案の定、
「そうか。」
とだけ言われた。
「それだけ?」
とちょっとスネて言ってみたら、ものすごく落ちこんだ顔で
「悪い。」
と言われてしまい、あわててフォローする羽目になった。
この前のケンカのことを、少し気にしていたらしい。
アスランらしいや。


その日の夜、ナスティが寝た頃を見計らって、部屋を出た。
むかったのはトレーニングルーム。
最近もやもやと考えがちになっていた私には、一汗かいてからの方がぐっすり眠れそうな気がした。
授業以外では常に開放されていることを、ありがたく思った。

「あれ? イザーク。何してるの?」
まさか先客がいるとは思わなかった。
トレーニングルームにいる人間に、何してるのも何もあったもんじゃない。
いつぞやの整備くんと違うのは、一目瞭然だ。
こそ何だ。こんな時間に。」
ウエイトトレーニングを続けながら、チロリと私を見て言う。
これじゃ私がいつぞやの整備くんになってしまう。
「イザークと同じ、トレーニングです。」
言うが早いか、自分のトレーニングメニューに集中した。


「おい。」
最後のメニューをこなしているところで、イザークから声がかかった。
「何?」
「俺は今日は終わりだ。これからシャワールームへ行ってから帰るが、お前はどうする?」
「私もこれで終わり。片付けやっていくから、先帰っていいよ。」

私が言うと、イザークの眉がつりあがる。
何か変なこと言った?
「・・・自覚がないと、ニコルに言われただろうが、ここで。」

あぁ!・・・・・って。
何でイザークがそれ知ってるの?
しかも何で怒るの?

きょとん、としていると、
「待っててやるから早くしろ!」
と、どやされた。
だったら最初からそう言ってよ・・・。

トレーニングルームには、シャワールームもちゃんと併設されている。
部屋に帰ってから浴びると、ナスティを起こしちゃうかもしれない。
私もここで浴びていく、と言うと、イザークは少し顔を赤らめながら、「なら待っててやる。」と言った。
イザークの方が先にシャワーを浴びていたので、
湯冷めさせたら悪いから、と断ったけど、彼は聞き入れてくれなかった。
(神田川、イザークバージョン?)


体術で、取っ組み合いの戦いをしたこともある。
授業では、性別の違いという扱いを受けたことはない。
だからこうして思いもしないところで、私を女と扱うイザークがなんだか不思議だった。

でも、悪い気はしないな。

笑いながら、頭から熱いシャワーを浴びた。



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【あとがき】
 男なら、一緒に入るぞ、とか言おうよ。イザーク。
 早くちゃんとイザークの距離が縮まるといいな・・・。(希望か、おい!)