放課後に外出許可をもらって、アスランと家に戻ってきていた。
今日はマッケンジー家主催のパーティーの日。
ラスティとナスティの成人のお祝い。
評議会の人の間でこういう交流イベントは良く行われているらしかったけど、
月で育った私やアスランは出席したことはなかった。
私のお父さまは議員ではないけれど、パトリックおじさまが出席するなら必ず同行する。
国の幹部の出席も問題ないらしい。
大人の事情は、よくわからない。
「ある意味お披露目になるのだから、念入りに支度しなさい。」
と言われ、なじみのメイドたちに言われるがままに支度された。
髪型だけでも何通りもいじられ、服もとっかえひっかえ。
メイドたちに遊ばれている感はぬぐえない。
でも、ドレスなんて着るのは初めてだったから、おとなしくしていた。
出来上がった私の姿は、黒髪を下ろしてストレートに整え、ブルーのふんわりしたドレス。
髪をアップにしてタイトなドレス、という意見と割れていたようだけど、最後は
「かわいらしく、やわらかく」と言った、私と同い年のメイドのテーマが採用されたらしい。
ドレス姿を見たアスランに意見を求めたら、
「とイメージが良くあってるよ。」
と言ってくれたから、メイドたちの目は確かだ。
会場に着くと、アスランは婚約者のラクスをエスコートするために、さっさと側からいなくなってしまった。
父たちもそれぞれ、なじみの顔と話し込んでいる。
こんなトコ来たことないのに、どうしろと・・・。
途方にくれていたら、肩をポンとたたかれた。
「ようこそ。・嬢。」
ふりむくとそこにナスティがいた。
オレンジのロングヘアーをアップにまとめて、同じくオレンジのドレスを着ている。
美白美麗!
「今日はご挨拶が多くてあまりお話できませんけど、お部屋に帰ったらまたゆっくりお話いたしましょうね。」
そう言って優しくほほ笑んだナスティは、あっけにとられている私を残して行ってしまった。
今のは・・・・・誰だ?
「僕たちはアカデミーで会った彼女にそう思いましたよ?」
あっけにとられている私に、話しかけてくれるこの声は・・・。
「ニコル!」
「こんばんは、。社交の場で、ナスティはちゃんと女性ですよ。」
ニコル、それはちょっと言いすぎ。
「こんばんは、ニコル。・・・すごいね、ナスティ。使い分けてるんだ?」
「僕たちはこっちのナスティが先ですよ。でも、アカデミーの彼女の方が本物みたいですね。」
その衝撃も大きそうだ。
「ナスティほどじゃありませんけど、ラスティもイザークもディアッカも、ココではおとなしいですよ。
アカデミーでの彼らの方が、人間味があって僕は好きですけどね。」
「ニコルは、変わらないんだね。」
「えぇ。僕は大人ですから。」
って、一番年下なのに・・・・。
ニコルと別れたとたん、私は誰だかもわからない男の人5人に囲まれてしまっていた。
「嬢がご出席されると聞いて、僕は今日来たんです。」
「月にいらっしゃったそうですね?」
「今は軍に入られるために、アカデミーにいらっしゃるとか?」
「貴女のような女性に、戦場は似合いませんよ。」
何だ? 何だ? 何だ?
ごっちゃごっちゃと、何を好き勝手言ってるんだ?
だいたい今日はナスティとラスティの成人祝いだぞ?!
何で私に会うため、に来るんだ?!
・・・・間違ってる!!
心の中ではそうやって怒りが渦巻いていたけど、私は言葉を返すこともせずにニコニコと聞くフリをしていた。
ココではお父さまの立場もあるし、そうする方がいいと思った。
ナスティがああしている理由がわかった気がした。
いつまでたっても5人の話は終らないので、
「ちょっと疲れました。」と言って私はテラスへ逃げてきていた。
たった数時間で、一日の訓練以上に疲れた。
「なーにサボってんだよ?」
今度声をかけてきた主を見て、私はホっとした。
「ディアッカあぁぁぁ〜〜〜・・・。」
「ってか、何で泣きべそかくんだよっ」
「だって〜〜、みんな寄ってたかって来て、ペラペラと・・・。」
やっとグチを言える相手が出てきてくれて、私は一気にまくしたてた。
「そりゃしょーがねーだろ? は有名だぜ?」
はあーーーー????
なんか最近、訳わかんないことばっかり言われるんですけどー?
「お前、ずっと月にいたから今日が初めてだろ?
の娘は箱入り娘だって、そりゃー男どものウワサのマトだったぜ?」
何だそりゃ。
「実際ドレスもよく似合ってるし、かわいいぜ。は。」
また聞きなれないセリフをさらっと言われて、私はわたわたあわててしまった。
もう!
ディアッカってば!
よくそんな恥ずかしいこと言えるなぁ。
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