「。明日の休暇、オレに付き合ってよ。」
ナスティに言われて、快くOKした私。
てっきり2人だと思っていたら・・・。
レンタルされたエレカの集合場所には、ラスティもアスランもニコルもイザークもディアッカもいた。
ま、いっか。
「本日はマッケンジー姉弟主催のドキドキプランにご参加いただき、ありがとうございます!」
ラスティの調子づいた声にディアッカとニコルと私が、「はーい。」と手をあげた。
「きっ・・・さまらぁ! 何だそのドキドキプランとは?! ラスティ!!」
「なにー?」
「貴様がいつになく真剣な顔で言うからと思って来てみればっっ! 何だこれは!!」
イザークは、昨日のモビルスーツシュミレーション戦でアスランに負けた悔しさを引きずっているらしい。
朝一番から、超!不機嫌だった。
「まぁまぁ、イザちゃん。」
「イザと呼ぶな! ナスティ!」
「・・・イザーク。早く乗ってください。置いていきますよ?」
さすがにここまできて置いていかれるのは寂しかったらしく、イザークもニコルに続いてしぶしぶエレカに乗った。
「で? どこから行くんだ?」
アスランは最初からこのメンバーで外出する、とわかっていたらしく、特別驚いた様子もない。
「「家!!」」
見事にハモった双子。
え? 家って、ナスティとラスティの家?
「「たーだいまー!」」
本当に2人の家だった。
さっすが、ザラ家に勝るとも劣らない名家。
確かお父さんが今のプラントの三角型コロニーを設計したんだっけ。
評議委員は各分野の先駆者から選ばれているようなもの。
だから、その親の血を引く子供たちは、当然コーディネーターの中でも優秀の部類に入る。
きっとこのメンバーが良い例でしょ?
「お前らの家で何するっつーの? 鬼ゴッコ? かくれんぼ?」
「そんなの一人でやってろよ、ディアッカ。」
「今日はなぁ・・・・」
「「オレたちの誕生日なんだよ!!」」
えぇ??!!
聞いてないです、ナスティさん!
「ナスティ〜〜〜、そいのは早く言ってよぅ。・・・プレゼント用意してないじゃん。」
しゅん、として言った私の頭を、ナスティがニシシと笑って撫でてくれた。
「いーんだよ、そんなもん。それより、わざわざ家に来た理由、当ててみろって。」
「オレたち、ちゃーんと用意させてあるんだぜ?」
ラスティの言葉に、ディアッカが顔をキラキラ輝かせた。
「酒だな?! グゥレイットぉ!!」
コーディネーターはその能力の高さから、15歳で成人とされる。
今日誕生日のナスティとラスティはいいとして。
でも、年上のディアッカもイザークも、まだ一歩手前の14歳でしょ?
当然優等生のアスラン・ザラ君から注意が―――・・・ない。
「アスラン、いいの?」
盛り上がってるところ悪いので小声で聞いてみたところ。
「俺たちは月で育ったせいもあって知らないが、プラントでは12歳で飲酒が認められるらしい。」
ってコトは最年少のニコルもOKなのか。
認められてる、とはいえ、アカデミーで飲むわけにはいかないんだろう。
久しぶりのアルコールを前に、ディアッカの「グぅレイトぉ!」炸裂。
言いだしっぺの2人が、一番お酒に弱かった。
何をどれだけ飲んでも変わらないイザークは、一見の価値あり。
「も、ほどほどにしとけよ?」
あいかわらず保護者なアスランは、私に釘をさすのを忘れなかった。
「酔っ払いの話すことは理解不明ですね。」
毒づくニコルにもラスティはヘラヘラ笑っていた。
「理解しろという方が無謀だ。」
「イザーク。酒飲んでるときくらい、人格壊れてもいーんじゃねぇの?」
「俺は酒には酔わん。」
すごいなー、イザーク。
ワインだけでも一人でフルボトル2本空けてるのに。
「あひゅら〜ん。りゃくしゅしゃまとは、どこまでのきゃんけい?」
ナスティはまったくロレツがまわってない。
けど、この質問には全員の視線がアスランに集中。
表だって言うことはほとんどなかったけど、アスランとラクスの婚約のことは、みんなが知ってる。
ってか、プラント中が知ってる。
「聞いてやろう。話せ、アスラン。」
イザークは何であんなにエラそうなの?
「どっ・・・・どこって・・・?」
アスランの顔が赤いのは、お酒のせいだけじゃない。
「は? 何か知らねーの?」
いつまでたっても
「あの・・・」とか「いや・・・」としか言わないアスランにシビレを切らせて、ディアッカが私に聞いてきた。
「うーん。そういう話、したことないなぁ。」
アスランから相談受けたりってのも、まったくないし。
「あ! でもひとつ知ってる。」
私の言葉に全員がくいついて、アスランは何を言われるのかと止めにきたけど、
ちゃっかりニコルに酔っ払いを押しつけられて、身動きできないでいた。
「ラクスに会いに行くとき、アスラン必ずハロ持参だよ。」
「ハロ?」
「最近彼女がTVに出るとき、ヒザにのせてるピンクの。」
「へぇ。あれ、アスランが作ったんですか。」
アスランが耳まで赤いのは、絶対お酒のせいじゃない。
「お前、もっと気の利いた物を贈れんのか?」
「会いに行くとき・・・必ず?!」
ディアッカ、面白いところに気づいたな?
「アスラン。お前何体渡したんだよ?!」
「・・・・・・・・15。」
「アホか、貴様!」
さすがのアスランも、こればっかりは何も言い返せずにいた。
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【あとがき】
暑い日が続きますねー。
ライナの身体もアルコールを求めています。
でも授乳中なので、禁酒状態です。・・・ツライ。
イザークと飲み比べしたいですねー♪彼は絶対強いと思います。