「こちら認識番号296672、軍本部、特殊部隊所属、・です。着陸の許可を。機体データを送ります。」
「カーペンタリアコントロール、了解した。機体については説明を求める。着陸後指令本部まで出頭せよ。」
「了解しました。」
〔 過去と違う未来 PHASE：24 〕
機体の説明はただ、オーブからの内通者から受領し、オーブにそのデータは残っていないとだけ報告した。
P04、アストレイダークフレームは、表舞台にデータとして存在しない。
そもそもPシリーズ自体、公式記録から抹消されている。
P01、アストレイゴールドフレームはサハク家に。
P02、アストレイレッドフレームはジャンク屋に。
P03、アストレイブルーフレームは傭兵に。
性能のいいモビルスーツは、奪い、奪われもするもの。
説明は求められたものの、実際それは大して重要ではなかった。
情報を、整理しなければならなかった。
二機のモビルスーツの炎上は激しく、うかつには近づけなかった。
さらには足つき追撃のため、ディンが二機、迫ってきていた。
友軍コードも持たない機体で、これ以上この空域に残ることは、私にとっても得策でなかった。
足つきの空域離脱を見送ってから、私もカーペンタリアへむかって、今に至る。
アスランは、どこ？
キラは、どうしたの？
答えをくれる者は、誰もいなかった。
私が寄航したのと同時に、潜水母艦が一隻入港していた。
答えを知っている者が、帰ってきたと思った。
だから何も考えずに駆けこんだ部屋の中に、ナスティとイザークしかいなくても、何も疑わなかった。
まさか二人も状況がわからないとは、思ってもいなかった。
「ディアッカは？」
私の問いに、ナスティは無言で首を振る。
「・・・・・アスラン、は？」
ナスティはまた、無言で首を振った。
「バスターとの通信が切れて、爆発と同時にイージスとの通信も切れた。」
ナスティが事務的に言った。
「それしか・・・・・わかんねーんだよ。」
最後の言葉は、涙で震えていた。
――――バスターは、見なかった。
てっきり補給に戻っているのだとばかり思っていた。
――――イージスは見た。
あれに乗っていたのは、本当に・・・・・・。
「ただ・・・・その・・・・・。ニコルが・・・な？」
ニコル、の名前でナスティの声がまた震えた。
「〜〜〜〜〜くっそおぉぉぉおおおっっ、ストライクうぅぅぅぅ・・・・！！」
それまで下をむいていただけのイザークが、突然切れた。
そのままの形相で、壁に拳を打ちつける。
「やめろよイザーク！ お前、拳打撲してんじゃねぇかよ！」
ナスティの言葉にギョッとしてイザークを見た。
やっぱり相当痛かったらしく、今は手をかばっている。
打撲も、同じ理由だろうと思った。
ナスティにもう一度辛い言葉を言わせたくなくて、私は言った。
「ニコルのことは・・・・・知ってる。行ったの、あの場所。」
ナスティとイザークが、息を呑んで私を見た。
「オーブは、ブリッツの機体データが欲しかったみたい。だから、私も行ったの。」
「見たのか・・・・・、あれ。も。」
ナスティの言葉に、私はコクンとうなずく。
「いきさつはあんまり説明できないんだけど、私の機体P04、アストレイダークフレームには、ブリッツの右腕がついてるんだ。」
「なんだと？」
「軍には、このまま自分が乗りたいって伝えてある。あれには、ニコルの想いが生きているから・・・。」
水を打ったように、静まり返った部屋。
空気を切り裂くようにして、部屋の通信機が鳴った。
イザークが応答すると、画面にはラウの姿が映る。
「イザーク。ナスティ。アスランが見つかったそうだ。」
「本当ですか？！」
無礼を承知で、私は通信機に割りこんだ。
画面の中のラウは、そんな私の登場にも動揺しない。
「おや、もそこにいたのかね。安心したまえ、命に別状はないようだ。」
ラウの言葉に、ホッと胸をなでおろす。
捜索にはオーブも出ていたらしく、アスランはオーブの救助隊に保護されたという。
大勢では行けないので、イザークが代表してヘリに乗り、アスランの元へ飛んだ。
イザークが出て行ったのを見計らって、ナスティが言った。
「なんだかんだ言ってイザークのヤツ、アスランのこともめっちゃくちゃ心配してたんだぜ？」
アカデミー時代。
それこそ犬猿の仲だった、イザークとアスラン。
あのアスランが、初めて闘争心をむきだしにしたのも、イザークだった。
あの時代、ただいがみ合っていた頃とは違う、力を認めたこそのライバル。
「イザークもアスランも、本当素直じゃねーんだから。」
ナスティの言葉に、久しぶりに笑えた自分がいた。
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【あとがき】
せっかくブリッツの右腕がつけられるなら、ちゃんにください。
ということで、オリジナルな機体出現。
でもそうするとP01って、めっちゃ弱、な機体に・・・？
まぁ、うちのサイトはヒロイン至上主義なので、いっか。