2018.03.21
<あの日、あの時、あの番組−ユーミンの「瞳を閉じて」>

  NHKの3つの番組を繋いで、ユーミンが高校生に送った曲の経過を辿った番組。1970年に五島列島の小さな分校奈留高等学校の生徒からオールナイトニッポンに校歌を作ってほしいというリクエストがあってユーミンが作った曲が、島で愛されて歌い継がれて、教科書に載ったりして、ついには記念碑が作られて、ユーミンが除幕式に参加する。その後も高校の70年記念式典に島を訪れる。島に残って漁業を継ぐ者、都会に出てきて生活を築く者、年を経て世代は変っていくけれども歌は歌い継がれていく。なかなか良い話である。忙しいユーミンにとっては単なる好奇心の発露だったのだが、歌は当初の意図とは別に生きていく。番組には現在のユーミンが出てきて慎重に言葉を選びながら語る。久しぶりに、アルバム「ひこうき雲」「ミスリム」を聴いてみた。いまだに新鮮な驚き。この人はまあ天才である。一昨日、池上彰と三輪明宏の対談があって、その時美輪明宏が言っていた、恋と愛の違い。求める恋と尽くす愛。ユーミンのは正に「恋」の歌である。甘え浸ろうとする欲望。中島みゆきの歌う「愛」とはそういう意味で対照的である。
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