1999.06.21

     テレビで80年代の青春について特集していた。80年代は一種の恋愛至上主義であって、そのマニュアルとなったのがユーミンの歌であるという。確かにそうかもしれない。女の子の正直な気持ちが歌われて、それに合わせるように男の子が振舞ったということなのだから。恋愛がかけがえの無い真剣なものから戦術を立て選択できる商品のようなものになった。コミュニケーションが良くなってあまり秘密がなくなり、誤解もなくなったようでいて、本当のところ自分が何なのか考える必要が無くなったとも言える。最後はそこまで踏み込まないと本当の関係にはならないのに。僕はユーミンの歌がとても好きだけれど、歌の内容に全面的に共感しているわけではない。遊びとしての面白さがあるし、そんなことを考えている女の子がかわいいと思うが、それに合わせる気は無い。ユーミンもそうではないだろうか?歌の全てが皆に受け入れられる物ではなくて、ユーミン個人の外からは分からない部分や感性の豊かさが結構ある。夕焼けに小さくなる癖のある歩き方、、、とか、これは何だろうかと気になる。もっと広いスペクトルで考えるべきではないだろうか?いろいろなこと、たとえば美意識のようなものまでもが、遺伝子の子孫を残そうという本能に支配されているような気がする。性欲はその中心であるが、それだけではなく、生きているものに対する特別な意識が美意識の根底にあると思う。

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