2015.09.14

      夕方、エリザベト音大のザビエルホールで、「スローウィンドコンサート」を聴いてきた。スロヴェニアフィルハーモニーの主席奏者達による木管五重奏である。厳つい感じの男5人。。。

      プログラムはちょっと変わっている。最初はスカルラッティのソナタをディヌ・リパッティが編曲したもの。確かに曲想はスカルラッティだが、奇妙な感じがした。

      次の曲は細川俊夫の「古代の声」。フルートのうめき声から始まる。各楽器がそんな調子でずっと続く。中間部では息の音とか、いろいろ。何とも言えない緊張感があって、最後まで興味が尽きなかった。5本あると、大体3本位が持続的な和音を吹いていて、2本が対話する感じになる場合が多い。フルートは2本持ち替えていたが、どちらもC管である。多少音色が違うかなあ、とは思ったが、どういう意図だったのだろうか?

      次の曲はモーツァルトのアダージョとアレグロK.594ということであったが、聞いたことが無い。モーツァルトらしい上品な感じがまるで無い。何だかやけになって吹いている感じ。この辺りから、何となくヨーロッパの伝統に対する何か醒めた意識があるように感じ始めた。

      後半はミヨーの「ルネ王の暖炉」作品205で、小品の集まりである。タイトルがついている。行列、朝の歌、軽業師、ラ・マウザン・クラード、アルク川の槍試合、ヴァラブルでの狩、夜のマトリガル。まあ、そんな感じではあるが、メロディは普通の調性音楽の終わり方ではなくて、フランス的(中世的?)に終わりかけて終わっていない感じのメロディーで構成されている。

      次の曲は、スロヴェニアのN・シェンクという人の2009年の作曲で、「モーメンツ」。最初はホルンが呟くような愚痴を言っているような独奏で、それに茶々を入れるように他の4人が応じて、突然の沈黙、それから今度はフルートがちょっと饒舌な感じで喋り始めると、また他の4人ががやがや騒ぎ出す。こうして、次々と5人の奏者それぞれの独り言と他の奏者のお喋りが対比されながら曲が進行していく。久しぶりにフリージャズを聴いたような気がした。要するに演劇的な音楽である。解説によると、「個と社会の関係についての様々な観点から構成した」ということであるが、そういう風にも聴こえる。背景にはやはり複雑なヨーロッパの政治状況の中で民族が辿った歴史があるのだろう。

      最後はヒンデミットの「小室内音楽」作品24-2。リズム形を変えた5つの楽章から成っていて、何とも記述できないのだが、面白かった。

      アンコールはちょっとユーモアのある曲だったのだが、曲名は判らない。

      ザビエルホールは室内楽用で200席位。半分も埋まっていなかった。若い人が多い。エリザベト音大の関係者に誘われて、その学生達が聴きに来た、という感じである。結構高校生が多かったが、ちょっと難しかったのではないだろうか?

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