2018.04.14
<NHK:欲望の経済史(日本戦後編)> 野口悠紀夫
なかなか良く纏まっていて頭の整理に良い。
・1940年から戦後へと日本の経済体制は連続している。1940年体制(総力戦体制)。それまでの直接金融から間接金融へ。資金調達に銀行が介在し、国家がそれに関与する方式。傾斜生産方式。価格差補給方式。石炭の代金を税金で補った。炭鉱への特別配給。しかし、補助金による通貨供給過剰でハイパーインフレになった。占領軍による財閥解体、農地改革(国債に換算された)。資産家が没落。
・1949年、アメリカの指導でドッジライン。インフレ対策、価格差補給金を止めてインフレが終息したが、今度はデフレで失業者増大。
・1950年、朝鮮戦争で特需があって救われた。1955年には戦前のレベルに復旧した。アメリカの文明が目標となった。科学技術楽観主義。
・1960年代、高度成長期。江戸時代以来の日本人の生活がこの時点でやっと変わった。政府主導の改革。所得倍増計画。石炭から石油へ。雇用流動化。地域格差拡大。
・1964年オリンピック東京大会。日本型企業が誕生。1964年、IMF8条国となる。一方で社会格差拡大。フォーク、フーテン、ヒッピー。1968年、GNP世界第二位。
・1970年代、田中角栄。地域格差是正を目指した日本列島改造。土地暴騰。福祉元年。1973年オイルショックに見舞われるが、賃上げを抑えていち早くインフレ・スパイラルを脱した。企業別労働組合(40年体制)が功を奏した。公害。省エネ産業。車産業。半導体。輸出産業。Japan as No.1。
・1980年代。貿易摩擦、プラザ合意で円高。その結果の不況対策の金融緩和がバブルを生み出した。40年体制の構造的要因といえる。日本的間接金融。金融自由化で直接金融が可能になったにも関わらず、金融機関が投資を主体的に考えられなかったのである。DCブランド、大量消費から差異化消費へ。コマーシャル。ディスコの差異化、マハラジャ。その間に世界情勢激変。1989年、ベルリンの壁崩壊、天安門事件。冷戦終結。
・1990年代。年初の円安・株暴落から始まった。金利引き締め、不動産売買規制。バブル崩壊。1997年、山一證券廃業。1995年、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件。国内経済対策に追われている間に世界がまた変わった。ものつくりから情報時代へ。新興国(中国)が工業化。垂直統合(組織内)から水平分業(マーケット経由)へ。Windows95、携帯電話、情報化で流行が分散化。「島宇宙化」。オタク。
・2000年代。IT化、グローバル化、改革。銀行の統廃合、中央省庁の再編。銀行と証券を大蔵省から切り離した(金融庁)。残りが財務省となり権勢を失った。小泉内閣の規制緩和。シガラミから効率へ(新自由主義)。労働者派遣法。デイトレーダーブーム。大規模小売店舗。景気がやっと上向きになった。その間に中国が経済大国へ。アメリカはITバブル崩壊。日本はIT先端技術で中国とアメリカに追いつけていない。40年体制の残渣(国家への依存)により日本では経営者が未だに職業意識を持っていない。AI技術は情報の寡占者をますます有利にする。
・2008年、リーマンショック。しかし、日本の学生は依然として大企業、銀行を就職先に希望する。アメリカとは正反対である。
<目次へ>  <一つ前へ>    <次へ>