2018.12.24
この間の『科学』12月号での佐藤暁の連載『原子力発電技術が日本の安全保障の一翼を担っているという不愉快な戯言』は第5回だったので、最初から読む為に、図書館に行って、7月号から読んだ。最初に趣旨が説明してあって、表題の意味がやっと判った。

      いよいよ経済的に立ち行かなくなってきた原子力発電事業であるが、「日本が原子力発電をやっていてプルトニュームの保有を許されているということが、いつでも核兵器を持つことが出来ると言う意味での防衛上の抑止力になっている。」という言い方が如何にも尤もらしく語られる。それは単に近隣諸国への危険な挑発というだけでなく、技術的にも間違っている、ということである。核兵器の開発は未だに多くのノウハウが必要なのであり、それを盗まない限り、技術力の高い日本だからすぐできるというものではない。それを説明するのが連載の趣旨であった。更には、原子力発電所を持つということはむしろ国防にとって致命的な欠陥となる。そこを狙われたら日本は簡単に廃土となるからである。また核兵器開発に伴う汚染は並大抵のものではない。アメリカやソ連のような広い国土が無いと自らの安全な国土を失うことになりかねない。。。

      中で、マザーテレサの言葉が引用されていた。『思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。』

      ところで、マンハッタン計画に重要な貢献をした、元ドイツ共産党でナチスから亡命したクラウス・エミール・ユリウス・フックスという物理学者が居て、彼は核兵器の米国独占を恐れて、ソ連に機密を漏らしていた。この事が英国諜報部に判って有罪となったが、刑を終了した後、東ドイツで今度は中国留学生に機密を教えて、中国の核開発を支援した。

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