2024.11.11

NHKBS『フロンティア-世界は錯覚で出来ている

大変興味深かった。メモを残しておく。

杉原厚吉(明治大学)1980年頃から研究を始めた。

立体錯視の研究。判ってきたこと:人は直角を好む。面と面は直角に交わっているという先入観がある。
明るさの錯視。照明環境の自動補正。

宮脇陽一(電気通信大学)脳神経科学

知覚は推論である。事前情報が根拠となる。視覚1次野では縦と横の線に反応する。
世界はこうであるという事前情報から逃れることはできない。
知覚というのは答えのない情報に無理やり答えを出す、ということ。

小鷹研理(名古屋市立大学)

身体の錯覚
仏陀の耳錯覚:伸ばしているのを見ることによって自分の耳が伸びていると感じる。
Ruber Hand 錯覚:自分の手を見えなくして替わりにゴムの手を見ながら両方を触る。
何回も繰り返すと、ゴムの手を自分の身体を思い込んでしまう。
皮膚錯覚:ゴムを自分の手だと思わせてしまうと、ゴムを伸ばした時に手が伸びていると感じる。
第6の指。筋肉の信号を取り出して組み合わせて人工的な第6の指を動かす。訓練をすると、脳の運動指令野に第6の指の領域ができる。
身体は成長によって変わることが前提となっているから、適応性が高い。
VRを付けて歩くとき、触覚よりも視覚が重視される。

ガネッシュ・ゴウリシャンカー(CRNS)

感じることは錯覚することと同じである。
身体は幻想である。
ロボットを自分の身体として感じる。
脳にとって身体は入れ物に過ぎない、取り換えることもできるようになるだろう。

鳴海拓志(東大)

アバターを使って運動し、アバターの映像に運動効果を与えると、実際に運動効果が出る。
脳は自分で抑制しているので、それを取り除く。
VRのゴーグルを付けたままで運動する。
まっすぐ歩いている映像で曲線の手摺に沿って歩くと、まっすぐ歩いていると感じる。
アバターを自分だと思い込む。アバターによって自信が付く。

吉藤オリイ

分身ロボットカフェ
障害者(ALS)(パイロット)が遠隔地からロボット(オリヒメ)を分身として働いている。
相手の反応によって、実物としてそこに居るという実感。情報ではなく存在を伝達する
アバターを使うことで、自分を再発見することがある。
将来は自分の分身で自分を介護する時代がやってくる。。。

(感想)ますます視覚に依存する人間の在り方には危うさを感じる。生成AIによるフェイクの問題もそうだが、人間同士の社会関係が生物的に設けられた限界を超えて拡がっていて、それが計算機で扱いやすい視覚情報に依存しているということの危うさ。。。

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