2012.12.13

   広島プロミシングコンサート2012を聴きに行った。アステールプラザである。行きは電車帰りはバス。毎年、音楽大学卒業者による新人演奏会をやっているが、その優秀者が広島交響楽団と協奏する。開演前に2009年の出演者3人によるロビーコンサートがあった。オーボエ、クラリネット、ファゴットの3重奏である。HoToRIo d'Anches というトリオを組んで活動しているらしい。Ancheというのが葦、つまりリードのことである。バッハとモーツァルト、それにトマジという作曲家による田園のコンセール、でなかなか面白かった。トマジの曲はルネッサンス以前の民族音楽のような感じを取り入れて田園におけるいろいろな事件を描写しているような印象を受けた。

    本番の方は最初のサクソフォン 佐藤澄佳が素晴らしかった。ピエット・スウェルツという人の作曲で、コテカン:アルトサクソフォンと弦楽のための結合、という曲である。ジャワガムランを模したということで、極めて複雑なリズムで難しそうだったが、弦楽器群も何とかこなしていた。サックスはちょっとエリック・ドルフィを更に発展させて体系化したような印象を受けた。こういうのを聴くと、エリック・ドルフィが即興として使っていたフレーズの展開というのは、現代音楽の語法の中にあったんだなあ、と改めて思わせる。ピンクの可愛いドレスを着て、何とも楽しそうに複雑極まりないフレーズを次から次へと紡ぎだす様は、音楽の深刻さからいうとやや違和感があったが、それにしても素晴らしい。

次のフルート 坂田愛夏さんはライネッケのフルート協奏曲二長調Op.283で、かなり緊張していた様子で、音もか細かったし、表情も乏しかった。もっともライネッケの曲はそもそも才気に乏しく単調ではある。ただ、第2楽章は良く歌っていてとても良かった。3番目の三島沙織さんはリストのピアノ協奏曲1番変ホ長調である。この大曲を演奏できて幸せということではあったが、音符に振り回されている感じ。

最後の三上恵理子さんはシューマンのピアノ協奏曲イ短調Op.54である。これも迫力が無いが、カデンツァだけは良かった。

どうも広島交響楽団も管楽器群が冴えない。よくは判らないが音が濁って聞こえるからやはりこなす事に精一杯で音作りまで行かないのかもしれない。
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