2018.04.30
    午後、エリザベト音大で、ジョゼッペ・ノヴァさんの公開レッスンを聴いてきた。3人で1時間づつ。今回のは曲の解釈が殆どで、基礎的な話はあまりなかった。その曲も僕が吹く可能性のない難しい曲ばかりであった。

    最初はプーランクの『ソナタ』。生徒が元気一杯吹いたので、まずは最初の指示、メランコリック、が指摘された。装飾的なフレーズが多いのだが、装飾を取りさって基本的なラインによる構造をまずは考える。その音は重要なのでアクセントを入れたりテヌート気味にするが、この作者の意図をくみ取ってあまり強調してはいけない。ラインの終点には少しアクセントを入れた方が良い。アダージョは「心地良く」という意味であり、アレグロは「楽しく」という意味。ピアノは音量が小さいということではない。場合によってはビブラートもある。レガートにおいてもアクセントをつけるべきところがある。

    次はグリッフェスの『ポエム』。これは知らない曲であった。意味は「物語る」、つまり拍子にとらわれることなく、自由に語ってよい。フレーズとフレーズの間を空けたり詰めたり。語りは問いと答えが対になって出来ていることが多いが、その間は空けないように気を付ける。
    3曲目はデュティユの『ソナチネ』。7拍子なので、3+4か4+3をよく解析する。基礎的なことの注意があった。フォルテは押し付けるのではなく、音量を上げるためにアンブシュールを大きくして息の量を出す。低音のフォルテは唇を横に引っ張ると音が固くなってしまう。極力アンブシュールを丸くして、脱力する。歌口はきちんと下唇の下の窪みに当てて安定化する。低音と中音の境界のC#では右手の幾つかのキーを閉じた方が音が締まってよい。

    1時間ほど間を空けて、ミニコンサートがあった。モーツァルトの「アンダンテハ長調」から始まって、オペラ関係の華麗な曲が並んだ。アンダンテは全てのトリルを上から始めていた。アンコールで、マスネの「瞑想曲」を吹いた。どちらかというと平坦な演奏であった。彼はマクサンス・ラリューに師事したそうであるが、イタリア人で、演奏スタイルは繊細というよりは華麗でマッチョである。勿論第一人者ではあるが、あまり僕の趣味ではない。

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