2014.08.29

      井口郵便局にリハビリデイサービスの食事代引き落としの申請書類を出したら、傘を忘れてきてあとで取りに寄った。待合室で週刊新潮を読むと、朝日新聞の慰安婦問題訂正報道の記事があった。そういえば大分前に日本の軍部が朝鮮人の慰安婦を計画的に強制収用した証拠が見つかった、という記事があって、それをきっかけに慰安婦問題が政治化したのであるが、その記事が実は間違いだったらしい。当時から疑われていたのだが、朝日新聞はやっとそれを認めた。証言者は有名な詐欺師だったということである。戦争犯罪への反省は必要だが、それを喧伝するために嘘をついてはならないと思う。マスコミはともすれば目的のために誇張したり偽ったりすることがある。

      この間家の整理に宇都宮に行った時、Sさんが話していた丹羽宇一郎の「中国の大問題」(PHP新書)を東京駅で買って、帰りの電車で読み始めて、今日読み終えた。確かにSさんが日頃言っていることと同じことを言っている。この人は伊藤忠の社長として実績を上げ、2010-12年の間中国駐在の大使を務めた。その間中国全土に亘って旅行し多数の要人と話している。中国という国は特に表に出てくることと実際が大きく異なり、実際の中国を知るにはとにかく現場の人々に会って話を聞くしかない。その情報判断によって日本政府に多くの助言をしたのだが、残念ながら聞き入れられず職を解かれてしまった。現在の日中関係の危機的状況を憂えてこういう本を出したということである。内容についてはあまり自信を持ってコメントできない。ただ、中国という広大な領土を治めるには現在のところ皇帝であれ共産党であれ、独裁体制が適しているということかもしれない。そういうことならば、それを認めて付き合えば良いのである。現在の中国は習近平体制が固まっていないので、しばらくはいろいろな問題が起きるだろうが、それはどちらかというと国内統治の問題の波及であって、政府の意図からやや外れているということを理解しておく必要がある。つまりあまり過剰に反応すべきではない、ということである。反日感情が日本のマスコミによって盛んに採りあげられているが、大多数の中国人は現在の日本人に会ったこともなく、そのイメージは侵略してきた日本兵のそれであるから、何よりも民間交流が大切である。それにしても尖閣諸島を国有化したのは、それが悪いことではないにせよ、最悪のタイミングであった。およそ他国の事情への想像力を持たない日本の外交の失策がまた出てしまったということである。等々、なかなか正論のように思えることが沢山書いてあった。

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