2018.01.08
 ここ一ヶ月ほど中島みゆきの新作(42番目)『相聞』を時々聞いている。いつもそうだが、最近の新作アルバムは直ぐには意味が判らない。言葉についていけないから、どうしてこんなに大げさな歌い方なんだろうと思ってしまう。歌詞カードを見ながら何回か聞いて、想像力を働かせて歌詞の背後にある状況を設定してみて、少しづつ判ってくる。その内、最初は大げさに聞こえていた歌い方に必然性があったという事に<突然>気づく。使われた言葉は彼女の連想と暗喩によって音韻的に選ばれていて、それが判りにくさの原因でもあり、独特の魅力にもなっている。

      このアルバムを一言で言えば、全体が愛する人に先立たれた者の心情吐露である。つまり、昼帯ドラマ『やすらぎの郷』の世界を彼女なりに敷衍した題材が並んでいて、中島美雪という人が過去を振り返って到達した現在の心境を告白されているような、何とも親密な気分になる。最後の「慕情」が胸に沁みる。こういう心境というのは人生の先が長い人達には判らないような気もするが、どうだろうか?
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