2019.10.30
      お昼に109シネマで『蜜蜂と遠雷』を見た。本格的なクラシック音楽映画という感じで、なかなか楽しめた。幼い時からピアノばかり弾いている人達の秘密の世界を垣間見た感じである。その理解し難さを表現するのに主人公の松岡茉優の無表情と笑顔の対比がぴったりだった。

一応概要。

      日本のとある音楽コンクールの話。主人公はピアノ教師の母に音楽の楽しさを教わった女性。13才でコンクールの本選まで残るのだが、母を亡くし、本選直前で居なくなってしまう。トラウマとなって指が止まる。それから7年後にコンクールに復帰してくる。彼女の幼友達の男は母の生徒で、その後海外で学び、正確無比なピアニズムを身につけてコンクールにやってくる。もう一人は独学のピアニストで、生活に即したピアノを目指している。更に、最近亡くなった高名なピアニストが弟子の15才の天才的な男の子を送り込んでくる。更にそのピアニストはコンクール最終予選のオーケストラ指揮者として、厳しさで有名な指揮者を送り込む。この4人のピアノストがコンクールの期間中に音楽的な交流をして成長していく、という話である。それぞれにプロのピアニストが影武者として演奏するが、松岡茉優が演じる主人公の場合は河村尚子である。歯切れの良いピアノで、僕は好きである。課題曲『春と修羅』の出だしなど、それぞれ特色があって、面白かったし、プロコフィエフのピアノ協奏曲というのは成程こういう曲なのか、という感じで、勉強になった。それにしてもオリジナルの小説ではこの音楽を言葉で語っているというのだから、どんなのか、読んでみたくなった。  
 
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