2020.04.03
        ジブリのアニメ『思い出のマーニー』をテレビで見た。以前見ていたのだが、ストーリーはすっかり忘れていた。

        主人公はアンヌという少女である。幼い頃に両親を亡くし、親戚夫婦に育てられて大事にされていたのだが、孤児を育てるための助成金を貰っていたことを知って、育て親の愛情に疑念を抱き、劣等感にさいなまれている。喘息を改善するために、夏休みの間、北海道の海辺の村に住む育て親の友人夫婦に預けられる。友人夫婦宅では、育て親がアンヌの写真を沢山送ってきていて、愛されているんだということを知る。

        アンヌは海辺の洋館に惹きつけられて探検するが、そこは昔マーニーという少女がメイド達と住んでいて今は空き家になっている。マーニーは両親に愛されていたのだが、遠くで仕事をしていてたまにしか返ってこず、メイド達にいじめられていた。そのマーニーと幻想の中で交流する。お互いの不満を話し合って、アンヌはマーニーを使われていないサイロに誘う。マーニーが幼い頃そこに連れていかれて怖い思いをしていたので、それを克服するためである。

        そこで、嵐が来て、マーニーは男の名前を呼びながら、彼に助けられて去ったので、アンヌが問い詰める、と「入居者が決まったのでもうここを離れなくてはならないから許してくれ」と懇願されて、赦す。そして、海辺に写生に来ていた女の人に昔の話を聞く。それによると、マーニーは館を出て、都会で恋をして、子供を作り子供は結婚するのだが、彼らは早くして亡くなってしまい、その子供(孫)を育てるのである。やがて、マーニー自身も亡くなってしまい、育てていた孫を施設に預ける。アンヌは、その孫とはアンヌ自身のことだった、つまり、アーニーはアンヌを育てた祖母の若い頃だった、という事を知る。

        そして夏休みが終わり、育て親が迎えに来て、補助金を貰っていることをアンヌに告げると、アンヌは赦すのである。アーニーに出会うことで自分の感じている不幸を相対化し、赦すことを知ったのである。

        思春期の少女の繊細な心の動きを見事に描いている。なかなか傑作だと思った。月並みな言い方をすれば、子供は愛されているという確信によって自己を社会的に確立していくということである。

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