2018.11.04
      エリザベト音大の専任講師の万代恵子さんのリサイタルを聴いてきた。さすがはドイツ仕込みという感じで、音楽としての説得性があって、素晴らしかった。一つ一つのフレーズに表現者の意図が感じられた。ミスというか音の出し損ねが少なくとも7ヶ所位あったのだが、そんなことはあまり気にならない。

プログラムの中で特に感心したのは、最初のバッハのハ短調のパルティータで、もともとはリュート曲である。昔、カナダに居た頃、同宿の研究者がギターでいつも弾いていたので、僕にとっては親しい曲である。フルートではオーレル・ニコレの演奏が有名である。彼女のはバッハはこうあるべきというお手本のような演奏だった。他、イサン・ユンの曲も面白かった。アルトフルートの独奏で、解説に拠ると、”賢者”が先々の事を考慮しない政治家を批判するのだが、その声が届かない、という含意があるらしい。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」もなかなか良かった。ピアノがやや出過ぎた感じはあったが。フランクのソナタはまあ名曲であるから、盛り上がった。
 
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