2026.02.20
NHKTV再放送を観た。河合隼雄の最終講義(1992年)。京大の政経第4教室。
ユングの言葉、Constellation(星座)。これは、因果律で考えることに対比されている。因果律で考えるということは、操作する主体と操作される客体との分離という図式に嵌ることである。ところが、生命体同士の関係はそれに馴染まない。だから、何の因果関係もなく、ただ時を共有しているという、「共時性」という見方が必要になる。それは、カウンセリングの極意でもある。私は相手に働きかけたり問い詰めたりすることを避ける。ただ只管頷いて相手に共感する。心を相手に合わせる。そうすると、何か「気配」のようなものとして相手の本質が見えてくることがある。それは同時に相手にとってもそうなのである。
気に入っている絵本「ブタヤマさんたらブタヤマさん」が紹介された。ブタヤマさんは蝶を追いかけるのに夢中で、背後に化け物が迫っていることに気づかない。化け物が呼びかけても答えない。ブタヤマさんがふと振り向いたときには辺りには何もない。なお、蝶というのはギリシャ語でプシュケ。魂でもある。
あるとき河合隼雄が実家で母に会うと、いくつか事故が起きかけて、母が危ない目にあう。これは彼自身の問題ではなくて、日本人全体の問題ではないかと気づく。母性的なもの、皆が仲良くてしかし皆が拘束しあう伝統がある。
Constelllation というのはその表現としては「物語り」となるのではないか?だから、京大を退職したあとは、その物語り(民話等)の研究をしたい、というところで終わる。
なお出だしには彼のフルート演奏が出てきた。Gluck の「精霊の踊り」。冥界に妻を訪ねて帰ってくるというギリシャ神話に基づく。なかなか上手い。
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