2021.02.01
上昌広『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』(毎日新聞出版)、対話形式で気楽に読める。まとまらないけど、メモ。

・・・PCR検査推進派。感染ムラ攻撃。初動における「クラスター対策」批判。それが悪いという訳ではなく、無症状感染の割合が高いCOVID-19では感染ルートを見落としてしまうので、広範なPCR検査を併用する必要がある、ということ。初期でのPCR検査の抑制は犠牲者を出しただけではない。医療機関の感染率が欧米に比べて非常に高くなった。感染のピークも見誤った。安倍首相が見かねてPCR検査を増加させる指令を出すと、厚労省は裏でPCR検査の危険性を周知させる文書を配布していた。「偽陰性が30%もある」というが、繰り返せば良いだけである。(そもそも偽陰性は検査のタイミングによって生じる。検査そのものの不正確性ではない。発症日から前後に遠ざかると陰性になるだけである。)

・・・三密ばかりを言うが、大事な事を忘れている。お喋りである。「唾液の飛沫で感染する」というのはこのCOVID-19の大きな特徴である。満員電車は三密だが、誰もしゃべらないので感染が起こらない。

・・・戦前の陸海軍の医療部隊が戦後の感染研に繋がっている。厚労省の医系技官は国家公務員試験を受ける必要がない。戦前の保健所が戦後GHQによって厚生省に組み込まれて、その時の便法で免除されたのがいまだに残っている。公衆衛生部門にはあまり優秀な人材が配置されていない。医療系の予算権限を握っている。利権と情報の独占、という。まあ実際上そうなっているかもしれないが、責め立てても仕方ない。

・・・過去の危機管理。90年代金融不良債権処理、2000年の狂牛病、2011年福島原発事故後の処理。この中で成功したのは狂牛病のみ。何よりも社会不安を取り除くことが経済再生に繋がる。コロナではPCR検査がその手段である。

・・・日本の政府は国民から信頼されていない。太平洋戦争の失敗がいまだに尾を引いている。だから消費税も上げられない。国民皆保険制度はそのお詫びでもあった。守らねばならない武器である。今後の日本は中国を中心とするグローバル化に呑み込まれていく。地理的にも北京に近い関西系の企業の業績が上がってきている。等々。。。

 
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