朝のラジオ体操の後の「ビジネス展望」は4月から「社会の見方・私の意見」というタイトルに変わった。(聞き逃した人の為に毎週金曜日にpodcastがUPされている、http://www.nhk.or.jp/r-asa/business.html。)

      今朝は国際政治学者の高橋和夫であった。先日のイラン核開発合意についてである。これはホメイニ革命以降孤立していたイランとアメリカの関係回復であり、画期的な外交成果であった。そこに至る双方の努力の裏には様々な人脈があり、それはアメリカが移民国家である、ということ、外国のエリートの卵を米国に留学させて、反米でも構わないが少なくとも知米人にする、という戦略の成果であった。またイスラム暦の正月にはインターネットを介した米国大統領の祝辞を伝える、とか、その際に相手の文化や歴史を評価するとか、イランの側でもインターネットを使ってイスラエルに同様の祝辞を伝え、これに質問した人に、「ホロコーストは無かったという人はもはや居ない」と答えたりしていて、こういう様々なチャンネルでお互いの政権担当者間の信頼関係を築く努力があった。更には中国もロシアも裏から働きかけていたらしい。物事を多面的に捉え、決して一つの考えに固まらない、というのが危機を回避するために必要な政治家の資質なのだろうと思う。「信念」とか「志」とかでごり押しする事が必ずしも有効ではないということである。

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