2015.05.16

    篠田節子の「インド・クリスタル」(角川書店)を読み終えた。予約したことを忘れた頃に順番が廻ってきたので義務のようにして少しづつ読んでいたのだが、明日返そうと思って今日は後半の1/3を一気に読んだ。

インドの社会について随分調べたようである。つかみどころのない多様性は何となく感じられたが、やはり他所の国のことという感じが最後まで続いた。藤岡という水晶振動子用の水晶製造会社の社長が高品質の種水晶を求めてインドの村に行き着くのであるが、NGOをかませて村民に掘らせてみたり、合弁会社を作ってみたり、最後は反政府組織に襲われて終わる。最後の方になって、水晶の鉱脈とウランの鉱脈が交錯していて、村人が放射能汚染されていたことが判る。しかし、それらの事実は隠されたまま物語が終わる。主人公は原住民のロサという女性で、藤岡に助けられてNGOに預けられるのであるが、驚異的な能力と共に人を引き込む力があるという設定。村に反政府組織を引き込んで、放射能汚染を撒き散らす鉱山開発を止めさせる。反政府組織は村人を操ろうとしたのだが、村人は勝手に村長や鉱山関係者を虐殺してしまい、軍隊が出てきて鎮圧されてしまう。篠田節子にしてはイマイチ、という感じ。。。。

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