1月27日(月):
 NHKテレビの録画でユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・サピエンス全史』の紹介を見た。僕は読んでいないのでちょうどよかった。3段階に分かれる。

・・1:認知革命では、フィクションを信じる能力によって、共同行動ができるようになり、生存優位性が生じた。壁画には想像上の動物の絵も登場する。神々を共同体として信じることで、団結出来る。

・・2:農業革命では、穀物栽培によって食料を蓄えられるようになり、人口も増大したが、他方、人々は長時間労働を強いられ、貧富の差が生じ、所有権を巡る争いも起き、本来狩猟に適した身体を農耕に使うことで整形外科的な病気を得た。穀物植物の立場から見れば、人間が穀物の繁茂のために家畜化されたように見える。

・・3:人類の統一へでは、共同体のサイズと数が増えて、それらが次第に大きな組織にまとまっていくのであるが、その原動力は宗教というフィクションであった。更に、貨幣という最高度の誰にとっても強力なフィクションによってより大きな共同体が支えられ、貨幣は科学技術の進歩に支えられて、富を生み出すために社会の中で回転増殖する。この仕組みは人々の信用によって成り立つ。これが資本主義である。ついには、全く別の文化圏や宗教を持つ集団を支配するようになる。これが帝国というフィクションである。帝国はリベラルでもありうるし全体主義的でもありうる。まあ、こんなものかなあ、と思う。

・・さて、これからどうなるか、ということであるが、ホモ・サピエンスの問題は必然的に地球規模にならざるを得ない。新たな技術として、バイオテクノロジーとAIがある。これらはおそらく、一部の支配層の身体構造や精神構造を変えていくであろう。いわば新たな人類の誕生となるであろうという。これが次作の『ホモ・デウス』である。科学技術がその原動力であるが、良い方向に向くか悪い方向に向くかは我々の選択にかかっている。

・・ネットで調べたら、評論集も出版されたらしい。
https://wired.jp/series/wired-book-review/17_21-lessons-for-the-21st-century/
これからの時代の処方箋は『自分』という『フィクション』を信じることだと言っているらしい。まあ、確かにそうかもしれない。ぼーっとして生きていると流される。大変な時代になったものだ。

中島みゆきの最近の歌にちょうど良いのがあった。(Why & No):
https://www.youtube.com/watch?v=ayWEdIH7LTU

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