2021.01.19
       広島市では、昨年12月からの第3波に対して、12月14日から県知事が独自に特別警戒宣言を行い、19日からは広島市内2ヵ所にPCR検査センターを設けた。また2月からは80万人を対象として無症状者の検査を始めるということである。そこで、今年1月17日までの発症データを集めて、福岡市、北九州市と同様の解析を行った。両市に比べて、広島市のデータは発症有無不明者が少ないので、無発症者から未発症者数を精度良く見積もることができる。文献から推定される比率分布から直接95%信頼区間の両端が得られる。やり方は論文 参照。分類された各陽性者の総数を表にした。福岡市、北九州市については、先日の報告 参照。
  福岡市  広島市  北九州市
 発症日有り  5572  1671  327
 発症日不明発症者  60  783  7
 無発症者  143  492  285
 発症有無不明  599  11  136
 総数  6374  2957  755
      下図のように、広島市では検査遅延も無発症者数比率もあまり大きな経日変化が無いので、現在の第3波終息傾向には12月19日からのPCR検査体制強化はまだ寄与していないと思われる。終息傾向は知事の12月14日からの集中対策宣言による繁華街自粛の効果である。(asym=無発症者数;sym=発症者数)
12月28日以降については、発症日が公表されていない為に、遅延分布が計算されていない。上記表の発症日不明発症者の内744名がその期間に入る。

      検査遅れ分布は福岡市や北九州市に比べて1日位短い。以前から検査対応が早かったということを示す。遅れ平均は、福岡市、北九州市、広島市で、それぞれ、4.8日、4.6日、3.7日である。広島市のデータでは陽性確定日が記載されているので、それを基準にすると、3.5日となるが、他市では記載が不備なので、他は全て公表日を基準として計算した。

      無発症者数に対する未発症者数比率については、文献で得られる比率の分布を適用し、福岡市と北九州市では発症有無不明者を発症者とするか無発症者とするかの両端の場合についてその比率分布の端を選び、広島市については単に比率分布の両端を選び、未発症者の発症を1日後と2日後と仮定して、検査・隔離による再生産数の低減比率を計算したのが、下図である。

      北九州市では12月8日以降発症有無についての情報が開示されていないので、データは12月7日までとなっている。
広島市は福岡市と北九州市の中間位になっている。

 
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